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年収と幸福度の関係は800万円まで?お金とウェルビーイングの実態

現代社会において、国民の幸福感や生活満足度を測る指標として、年収や一人当たりGDPといった経済的指標は重要な役割を果たしています。

Angus Deaton氏は、平均所得と人々の生活満足度の関連について研究しました。所得と生活満足度の関係は単純なものでなく、所得の増加に伴い幸福感が上昇する度合いは徐々に逓減するという特徴があります。

年収と幸福度

一部の層の収入が上昇する段階では、生活の基礎的な充足度が向上します。実際、家計の余裕が生まれることで、健康管理、教育、余暇活動など、物質的・精神的に豊かな生活を実現できるため、多くの人が「生活に満足している」と感じるようになります。一方、年収が約800万円を超えると、基本的な生活の不安要素が解消される一方で、追加の所得が幸福感の向上をもたらさないという現象がしばしば指摘されます。

これは、いわゆる「収穫逓減」の法則に対応しており、一定水準以上になると、金銭的余裕の増加が生活の他の側面、例えば家庭環境や健康、社会参加などに移行し、所得そのものが幸福感の決定的な要因とはならなくなるためです。

効果は相対的に小さくなる

Deaton氏の分析では、所得を対数変換して評価すると、低所得国では所得の増加が幸福度に対して非常に大きな影響を与えるのに対し、高所得国ではその効果は依然として正の方向に働くものの、増加分ごとの差は緩やかになることが示されています。低所得者層の上昇は生活満足度を大きく改善する一方で、年収800万円から1000万円への増加は、数値上は幸福度の向上が確認されても、その効果は相対的に小さいという傾向があるのです。

若い頃の経済的苦労や中年期の仕事や家庭のストレスが影響

また、先進国においては、年齢層やライフサイクルによっても幸福感のパターンは異なります。多くの先進国では、中年期に一度幸福感が低下した後、退職後などで再び上昇する「U字型」のパターンが見られます。これは、若い頃の経済的苦労や中年期の仕事や家庭のストレスが影響していると考えられ、一方、一定の所得水準(例えば前述の年収800万円前後)に達していれば、生活に対する全体的な安心感が背景にあるため、老後においても相対的に高い生活満足度が維持されやすいという見方も可能です。

金銭的豊かさだけを捉えるのは注意

国際的な調査結果は、単に金銭的豊かさだけを幸福の全体像として捉えるには注意が必要であることを示唆しています。

たとえば、一部地域においては、他の先進国と比較して、統計上の所得水準から見れば相対的に豊かであるにもかかわらず、生活満足度が低い結果が出ています。これは、急激な経済成長や社会の変動が、人々の心理的安定や期待に大きな影響を与えるためと考えられ、年収800万円以上の水準に達しても、追加の所得が精神的な充実感に直結しない場合もあるという一例といえるでしょう。

低所得層ほど幸福度が高まる

低所得層における改善効果が大きく、高所得層においては増加分が緩やかになる現象が数値的に裏付けられています。これを踏まえると、収入が一定の水準になると幸福度は頭打ちになるという解釈も一部で見受けられますが、実際にはさらに高い年収でも、精神的な充足感や社会参加、文化的活動など、他の側面が改善される可能性は残されています。

年収だけではない

年収や国の経済水準は、国民の幸福感や生活満足度を測る上で重要な要素ですが、必ずしもそれだけで全てを説明できるわけではありません。増加する事で生活の安定感が向上し、家族や趣味、健康管理に対する投資が増えるため、幸福度の大幅な改善が期待できます。しかし、一定以上の収入に到達すると、物質的な限界に加え、社会や文化、個々のライフスタイルといった他の要因が幸福感に強く影響するようになり、収入の増加効果は逓減するのです。

最新の研究

2023年にKahneman氏が発表した米国居住者を対象とした研究によると、違った結論となっています。

幸福度が低いグループと幸福度が高いグループに分けて分析したところ幸福度が低いグループは、年収と幸福度の関係が一定の収入で頭打ちとなるが、幸福度が高いグループでは、年収の増加とともに幸福度が上昇するという結論になっています。

年収が約1125万円以上(1ドル150円で算出)になっても幸福度は上昇し、幸福度が高いグループでは、年収が約1500万円以上になると、幸福度の伸びがさらに強くなりました。

まとめ

今後の政策設計や社会のあり方を考える上では、単に所得増加だけを追求するのではなく、教育、健康、社会保障、文化活動など、多角的な視点から国民の生活満足度を高める取り組みが求められるでしょう。

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参考文献
Deaton, A. (2008). Income, health, and well-being around the world: evidence from the Gallup World Poll. The journal of economic perspectives: a journal of the American Economic Association, 22(2), 53–72.

Killingsworth, M. A., Kahneman, D., & Mellers, B. (2023) Income and emotional well-being: A conflict resolved. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 7, 120(10)


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執筆:equall編集部

 

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