現代社会では、ペットと暮らすことが単なる癒しや遊び以上の価値を持つという認識が広まっています。
最新の研究によれば、ペットがもたらす影響は私たちの生活満足度において定量的に評価できるほど大きいことが明らかになりました。本記事では、Michael W. Gmeiner氏とAdelina Gschwandtner氏による論文『The Value of Pets: The Quantifiable Impact of Pets on Life Satisfaction』の内容をもとに、ペット共生の効果とその貨幣的価値について解説します。
背景と研究の目的
ペットの存在が人間にもたらすポジティブな影響は、これまで心理学や医学の分野で数多く報告されてきました。動物との触れ合いがストレスを軽減し、心拍数や血圧を低下させる効果、またペットが社会的な交流を促進する役割など、健康面や情緒面でのメリットは多岐にわたります。しかし、これまでの多くの研究は相関関係に留まり、果たしてペットが直接的に生活満足度を高めているのか、あるいはもともと幸福度が高い人々がペットを飼うのかという因果関係については十分に検証されていませんでした。
本研究では、隣人が旅行中に自宅の見回りを依頼するという、偶発的な状況を利用することで、ペット共生と生活満足度との因果関係を明確にしようと試みています。これにより、従来の統計的手法では捉えにくかった問題を除去し、ペットが実際にどれだけ人々の幸福感に寄与しているかを調査しました。
調査と分析方法
調査対象は英国の2500世帯で、生活満足度・性格特性・ペット共生状況など、多くの項目が網羅的に収集されました。特に、ペット共生の有無と種類(犬、猫、その他)については、直接的な質問で判別され、生活満足度の尺度とともに解析されています。
また、本研究では「TOTORO」と呼ばれる変数を活用して、隣人から自宅の見回りを依頼される頻度とペット共生の関係を統計的に分析。これにより、ペットを飼う決定が元々の幸福度に左右される可能性の影響を排除し、ペットが生活満足度に与える純粋な効果を推定しています。
主な結果とそのインパクト
本研究の注目すべき成果は、ペットとの共生が生活満足度に対して明確な正の因果効果を持つと示された点です。具体的には、犬や猫の共生が生活満足度をそれぞれ3~4ポイントほど向上させるという結果が得られました。この効果を貨幣的価値に換算した場合、ペットとの共生は年間約1300万円(70,000ポンド)に相当するという推定値が得られ、これは友人や家族との交流に匹敵する価値と評価されています。こうした数値は、ペットが単なる「かわいい存在」ではなく、生活の質を大きく向上させる重要な要因であることを示唆しています。
研究の意義と今後の展望
本論文は、ペット共生が健康増進や社会的絆の形成において、どれほど大きな役割を果たしているかを科学的に裏付けました。この結果は、ペットの福利厚生や動物との共生を推進する政策の策定においても重要な示唆を与えるものです。
まとめ
ペットとの共生が生活満足度を向上させる因果効果があることを明らかにしました。ペットが単なる伴侶動物ではなく、社会全体の福祉向上に寄与する存在であることが実証されました。
この成果は、ペットに関する今後の政策決定や、個々のライフスタイルの選択にも影響を与えると期待されます。
ペットを飼うかどうか悩んでいる人、あるいは既にペットと暮らしている人も、今回の研究結果を参考に、自身の生活満足度の向上に寄与する可能性を再認識してみてはいかがでしょうか?
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執筆:equall編集部
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