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ミニチュアシュナウザーとは?
ひげのある特徴的な外見で人気のミニチュアシュナウザー。最近は、これまでの精悍なヘアスタイルだけでなく、耳の飾り毛を長く伸ばしたスタイルやテディベア風スタイルも人気です。小型犬ながらもテリア特有の気質を強く受け継ぐミニチュアシュナウザーの魅力に迫ってみましょう。
ミニチュアシュナウザーの特徴
ミニチュアシュナウザーは常に人気犬種ランキングで上位に入ります。その人気ぶりは長く続いていて、50年以上です。
ミニチュアシュナウザーは
- 抜け毛が少ない、毛が抜けにくい
- 体臭が少ない
- しつけを覚えるのが早い
- 飼い主に忠実
という特長があります。
日本でマンションでの室内飼育や都会での生活に適していることから、ブームに左右されず多くの家庭で愛されています。
サイズによる分類上は小型犬ですが、体重が10㎏前後となることから、片手で抱き上げ移動できるサイズではありません。
また元が猟犬種であることから
- 運動量が多い
- 運動不足はストレスに直結する
- 食べ物への執着が強い
- 頑固
- 我が強い
という面もあります。
脂肪がつきやすい体質であることから、日ごろから十分な運動量の確保が欠かせません。
サイズ・毛色・体重など
日本で一般的にシュナウザーといえばミニチュアシュナウザーです。実はシュナウザーには下記のサイズもあります。
- ジャイアントシュナウザー(キ甲の高さ 牡及び牝 : 60~70cm 体重 牡及び牝 : 35~47kg)
- スタンダードシュナウザー(キ甲の高さ 牡及び牝:45~50cm 体重 牡及び牝:14~20kg)
原産国であるドイツでは大型のジャイアントシュナウザーが主流です。ドイツではごく一般的な家庭犬で、日本の柴犬のような存在です。
JKCに定めるミニチュアシュナウザーのサイズは
- 甲部での体高 牡、牝共に30~35cm
- 体重 牡も牝も約4kg~8kg
ペットとして暮らすミニチュアシュナウザーは、10㎏前後が主流です。運動不足から肥満になる場合がほとんどです。
小型犬ではあるものの、相当な運動量が必要なこと、体重管理、食事管理が欠かせない犬種です。
毛色は
- ブラックのアンダーコートで漆黒
- ソルト・アンド・ペッパー
- ブラック・アンド・シルバー
- ホワイトのアンダーコートで純白
が認定されています。
日本ではソルトアンドペッパーが大多数を占めています。ホワイトが認定されたのはごく最近で、まだまだ頭数も少なく、認知度が低いままです。
ミニチュアシュナウザーの繁殖には毛色も大変重要な意味をもちます。これは生まれる子犬に先天性疾患が多くみられるからです。繁殖を考えている場合は、JKCの定めを事前に確認しましょう。
ミニチュアシュナウザーの歴史
ミニチュアシュナウザーは、19世紀末にドイツのフランクフルト・アム・マインで繁殖されました。当時ははまだ粗毛のミニチュアピンシャーとこの犬種は説明されていました。当時のドイツではシュナウザーといえば大型犬であるジャイアントシュナウザーと認識されていたためです。小柄な犬といえば同じくドイツ原産のミニチュアピンシャーが当てはまったのでしょう。その後様々な形や サイズ、タイプ、毛質(粗毛、柔らかい毛、シルキーな毛)のものが生まれたことで、新たな犬種として認定されました。
当初の大型犬をここまで小型化することは、相当な苦労があったと推察されています。ジャイアントシュナウザーとミニチュアシュナウザーの外貌は大変よく似ています。ドイツでは他にもドーベルマンとミニチュアピンシャーが大変よく似通っていることもあり、このような輩出の実績が多数あります。
日本では50年ほど前の洋犬ブームの時に、ミニチュアシュナウザーが注目を集めました。当時はトイプードルやマルチーズなどの洋犬も話題になり、このブームがきっかけで日本のペット文化は大きな変化を迎えます。
ただミニチュアシュナウザーは他の小型洋犬に比べ我が強く、扱いにくい、噛みつかれるという声が多々上がり、短期間で人気低迷となります。
その後、国内愛好家を中心に改良が進み、気質が穏やかでペットとして暮らしやすい犬種となり、近年再度人気が高まってきています。
ここ数年は、ヘアスタイルのアレンジも多様になり、お洒落な犬種として注目を浴びています。
ミニチュアシュナウザーの飼育頭数
JKCの統計によるミニチュアシュナウザーの飼育頭数は下記の通りです。
※飼育頭数、順位は6位
<年度 飼育頭数 飼育頭数順位>
- 2021年(1月〜12月) 11,930頭 6位
- 2020年(1月〜12月) 10,982頭 6位
- 2019年(1月〜12月) 10,669頭 6位
- 2018年(1月〜12月) 10,071頭 6位
- 2017年(1月~12月) 9,893頭 7位
- 2016年(1月~12月) 9,797頭 7位
ミニチュアシュナウザーの人気は安定していて、頭数や順位の大きな変動はありません。
この犬種は、しつけにある程度の飼育経験や知識を必要とすること、トリミング費用が定期的に生じることから、幅広い世帯へ向く犬種ではないということでしょう。
ただこの犬種の知能の高さ、テリア種ならではの忠実さを実感すると、2匹、3匹と多頭飼いをする方や数世代にわたってこの犬種を家族にする傾向があります。
ミニチュアシュナウザーの年間飼育費用
実際にミニチュアシュナウザーと暮らす場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか?
- ドッグフード:月間3,000円 / 年間36,000円
- トイレシーツ:月間1,000円 / 年間12,000円
- トリミング:月間8,000円 / 年間96,000円
- ペットホテル:年間30,000円
- ペット用品:月間2,000円 / 年間24,000円
- 医療費:年間30,000円
- 合計:年間228,000円
※医療費(混合ワクチン、狂犬病予防接種、フィラリア予防、ノミダニ予防費用で算出)
※平均飼育費用であり、与えているフードやホテル・トリミングの利用頻度により個人差があります
ミニチュアシュナウザーの一か月のドッグフード消費量は3㎏ほどが目安です。
食物アレルギーや肥満になる傾向がみられる犬種なので、日々の食事は良質な素材を使用した安全性の高いものを選ぶと安心です。
トリミングはシャンプー、カットを1,2か月一回利用が目安です。トリミング料金は8,000~10,000円ほどが目安です。毛玉やもつれが多い場合、追加料金が生じる場合もあります。
外耳炎が慢性化しやすく、医療費がかさむ場合があります。ただ外耳炎は2週間程度の治療で改善できるので、家庭でのケアを念入りにすることで予防も可能です。
ミニチュアシュナウザーのケア
ミニチュアシュナウザーとの暮らしで習慣化すべきお手入れは
【毎日】
- 歯磨き、デンタルケア
歯ブラシ、飲み水に混ぜるタイプ、歯に塗るジェルタイプなど様々な製品があります。愛犬の性格や口内の状況、使い勝手の良さで選びましょう。
健康な状態の歯は白く、艶があります。歯の根元や表面が茶色や緑に変色している場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
【2、3日に一度】
- ブラッシング
- 耳掃除
ミニチュアシュナウザーの被毛はまるで絹糸のように細く、繊細です。そのため日々の生活で毛玉、
もつれがすぐにできてしまいます。
ブラッシングは短時間を小まめに習慣化することで嫌がらずに受け入れてもらえるようになります。
トリミング時の毛玉による追加料金を防ぐためにも、こまめなブラッシングの習慣を。
また垂れた耳は通気性が悪く、内部で雑菌の繁殖が進みがちです。数日おきの拭き掃除で、耳内部を清潔に保ちましょう。
臭いや汚れは外耳炎のサインです。症状がある場合は早めに動物病院の受診を。
【月に一度】
- 爪切り
- 肛門腺しぼり
- シャンプーやカット
ミニチュアシュナウザー本来の精悍さを求めるならトリミングはバリカンやハサミを用いる手法ではなく、プラッキングやストリッピングと呼ばれる被毛を引き抜く技法で依頼をしましょう。
この技法は高度なテクニックとセンスが必要となり、提供できるトリマーの数が限られています。ただこの技法なら、ミニチュアシュナウザー本来の硬く、ハリのある被毛になり、毛色の濃淡もはっきりと表れます。
ミニチュアシュナウザーは耳内部の被毛の長く伸び続けます。この被毛を放置すると、耳内部の通気性が悪化し、外耳炎のリスクが高まります。トリミングの際はこの被毛を抜く、切るという方法で短く処理します。
自宅でお手入れ、シャンプーを済ませる場合は、この耳内部の被毛の処理を忘れずに。
ミニチュアシュナウザーのまとめ
ミニチュアシュナウザーは、テリア種特有の性格と飼い主への深い愛情を持ち合わせた犬種です。体も上部で、扱いやすく、被毛のお洒落を楽しむこともできます。犬と適度な距離を保ちつつ、よきパートナーとしての生活を望む方におすすめの犬種です。
執筆:ライター 大谷