愛媛県大洲市にある青島は、日本でも有名な「猫島」の一つとして知られています。かつて漁業で栄えたこの小さな島は、人口減少とともに猫の数が増え、一時は200頭以上が生息していました。
しかし、観光ブームによる影響や適切な管理の必要性から、2018年にTNR(捕獲・不妊去勢・リリース)活動が実施され、現在は猫の数が減少しています。本記事では、青島の現状、観光客の影響、猫の保護活動、そして今後の課題について詳しく紹介します。
目次
日本の猫島 青島(愛媛県大洲市)の現状
面積:0.49平方キロメートル
人口:5人(令和2年国勢調査)
世帯数:3世帯(令和2年国勢調査)
島は長浜港から13.5㎞先にある島
猫の数
2013年:約200頭
2023年:約80頭
出所:愛媛県離島振興協議会「青島」,青島猫を支援する会Twitter
猫島とは
イワシ漁などで長く栄え、人口が最も多かった戦前の昭和17年には 900人近くの島民が住んでいたが、近年島を離れる島民が増え、飼っている猫を連れて行けず島に残った猫たちが増加していった。
2013年猫の島としてメディアで紹介されて、年間5,000人の観光客を動員する観光ブームが起こったが、猫と島民のバランスのとれた環境を目指して、2018年に猫の不妊去勢手術を実施し、その後猫は年々減少している。
観光客の餌やり
観光客が増えたことで、猫への餌やりが問題となっていきました。猫へ餌をあげすぎることで、お腹をこわしたり、餌をもどしたりする体調の悪い猫も多くなり、島のいたる所でフンをすることから悪臭等も出始めた為、餌やりのルールを作り対応を行いました。
餌やりのルール
ねこ大好きな皆様へのお願いこの付近でエサをやらないで
①近くには診療所や上下水道設備&待合所等の公共施設があります。
②たくさんのエサを無理に与えるとあちらこちらでもどしてしまいます。
③余ったエサ等はねこ好きな島民にお預けください。
ねこがあまり好きでない島民より
出所:出所:ねこみゅ「青島 14人の住民と200匹の猫の島」フールズメイト
青島が「多頭飼育崩壊」になるおそれ
猫が増えたことで、青島全体が「多頭飼育崩壊」になる可能性がありました。
2018年172頭に青島猫TNR(全頭一斉不妊去勢手術)を実施し、どうぶつ基金、大洲市、市議会議員、全国からのポランティアなど数多くの団体や人々が協力しました。
2018年に捕まえられなかった猫もいた為、再繁殖のおそれがあったが、TNRに参加したボランティアが「青島猫を受援する会』をつくり、正しい情報発言や寄付金を募るなどしながら、島民と協力して手術を続けた結果、頭数は減少させています。
残された猫たち
青島猫TNRによって、猫の数は減少したものの島民は高齢者5人であり、今後無人島になる可能性が高くなっています。
「愛媛県離島振興計画 令和5年4月」に記載されている対策は、「猫以外の島内の魅力をPRするため、パンフレットの更新、案内板の設置等を検討する。瀬戸内海国立公園に含まれる地域の豊かな自然を生かした観光施設として、海水浴場までの歩道の整備、釣りのできるポイント等を記した島内地図の作成等を検討し、観光資源のPRを行いながら観光と島民の生活環境維持の両立を目指す。」としているが残された猫の対策の記載はありません。
残された猫たちの保護が課題となっており、寄付金だけでは、猫の食事や治療は困難になっている。クラウドファンディングの実施や猫の移住が必要とされています。
猫島が学べる本
猫島 14人の住民と200匹の猫の島 – 愛媛・青島
島民の数より猫の数が多い”猫の楽園”として、NHKをはじめとするニュース報道で取り上げられネットで話題となっている、愛媛県・青島の初の写真集。この本の収益の一部は地方自治体を通じて青島の猫たちの環境整備のために使用されます。
日本の島のごきげんな猫
猫って、こんなに仲よく暮らしているの?
猫って、こんなに表情豊かなの?
猫って、こんなにおちゃめなの?
そう思わずにはいられない、猫の意外な素顔が見られる写真集。
のどかな自然を背景に、島猫たちのごきげんな姿を収めました。
街の外猫たちにはあまり見られない、猫たちののんびり大らかな表情、しぐさが満載です。
まとめ
青島は「猫島」として注目を集め、観光客の増加や地域の活性化につながる一方で、過剰な餌やりや多頭飼育崩壊のリスクといった問題も抱えてきました。2018年以降のTNR活動によって猫の数は減少しましたが、現在も残された猫の保護や島の未来について課題が残されています。
特に、島民の高齢化により無人島化の可能性が高まる中で、猫たちの生活をどう支えていくのかが重要なテーマとなっています。行政や支援団体による継続的な支援や、新たな取り組みが求められる状況です。
執筆:equall編集部
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