ペット(犬猫)と幸せに暮らすための適正飼養を解説

犬や猫と暮らす上で、健康と幸せを考えた適正飼養が重要です。現代では室内飼育を基本とし、放し飼いや屋外飼育を避けることが推奨されます。
また、マイクロチップや鑑札、迷子札を装着や不妊去勢手術を行い繁殖を防ぐことも重要です。本記事では、適正飼養を実践し、犬や猫と幸せな生活を送る方法をご紹介します。

適正飼育とは

適正飼養とは、「動物の健康と安全を守り、人に危害を加えたり、迷惑をかけないように飼養すること」です。適正飼養を実施するためには、飼育に関する情報を収集して、ペットに関する知識を身につける必要があります。
ペットを飼うということは、その命を預かることであり、飼い主にはペットが健康で快適に暮らし、社会や近隣に迷惑をかけないよう適正飼養する責任があります。

適正飼養が守られずに動物虐待へと発展してしまうと、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、愛護動物を虐待又は遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が料せられる場合があります。

犬適正飼養の基本

適正飼養と聞いても飼育と何が違うのか?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。適正飼養と適正飼育は、基本的に同じ意味として使われていますが、環境省などの行政では適正飼養という言葉が使われていますが、飼育という言葉は愛玩動物、飼養という言葉は畜産などに使われることも多いようです。

具体的には、放し飼い、屋外飼育をせず、安全な住まいで暮らすこと、マイクロチップ・鑑札・迷子札を装着して身元を確認できるようにすること、不妊去勢手術を行って無計画な繁殖を防ぐことなどが重要です。
さらに、犬や猫を飼うことに対して家族全員の賛同を得ること、アレルギーを持つ人がいないこと、近隣に迷惑をかけないよう配慮すること、毎日の世話を欠かさず行い、飼育費用を考えた生活を送ること、自身が飼えなくなった時の対策を考えておくことが、適正飼養を実現するための基本となります。

適正飼養の基本

  • 放し飼い、屋外飼育をしていない
  • マイクロチップ・鑑札・迷子札のいずれかを装着している
  • 不妊去勢手術をしている
  • 犬や猫を飼える住居で暮らしている
  • 同居する家族が全員犬や猫を飼うことに賛成している
  • 同居する家族に動物に対するアレルギーを持っている人はいない
  • 近隣に迷惑をかけないように配慮している
  • 毎日欠かさず世話に時間と手間がかけている
  • 犬や猫の飼育費用を考えた生活をしている
  • 飼えなくなったときのことを考えている

放し飼い、屋外飼育をしていない

犬は、動物愛護管理法や都道府県などの条例に基づき放し飼いは原則禁止されています。猫は、交通事故などの危険に常にさらされているだけでなく、感染症などの病気で動けなくなることも多いです。去勢をしていないオス猫は、他のオス猫とのケンカで大けがを負って動けなくなったり、ケンカに負けてその地域を追い出され、家に帰れなくなることもあるのです。

屋外で過ごすことで寄生虫や感染症にかかるリスクも高くなり、万が一ペットが迷子になれば帰ってくることが難しくなることもあります。これらのリスクを軽減するためには、室内で飼育する必要があります。近隣住民とのトラブルに発展することもあり、庭に侵入したり、糞尿の問題で近隣住民に迷惑をかけることは避けられません。

室内飼育のすすめ

室内で飼育する上で必要なことは、脱走対策です。
フェンスや柵を設置して、ペットが外に出ないようにしましょう。また、屋外に柵があっても、上から飛び越えない高さで設計することが重要です。
植栽やガーデニングにも気を配りましょう。毒性のある植物を避けることが大切です。
昔は外で飼う方が多く、昔の飼育方法を現代でも実施している方がいますが、ペットが家族の一員です。現代のルールに沿って飼育してください。

マイクロチップ・鑑札・迷子札のいずれかを装着している

迷子や徘徊で殺処分された動物は、鑑札や迷子札、マイクロチップをつけていれば殺処分されることなく家に帰れたはずです。大地震などの災害発生時に飼い主とはぐれても、所有明示があれば見つけ出せる可能性が高くなります。

現在は義務化されているマイクロチップや鑑札、迷子札を装着することで、もしもの際に発見される確率が高まります。これにより、愛する愛犬や愛猫が安全に戻ってくることが期待できます。大切なペットの安全を確保し、不測の事態に備えることができます。

マイクロチップの重要性

改正動物愛護法が施行され、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬猫についてマイクロチップの装着が義務化されました。
マイクロチップを装着する際は、首の後ろに専用の注入器で皮下に埋め込むのが一般的なやり方とされています。専用の機器をかざして番号を読み取ると飼い主の氏名や連絡先などの情報を閲覧することができます。これによって、迷子になってしまった際や震災で離れてしまった際に飼い主を判別しやすくなります。また、安易な遺棄の防止にも繋がると期待されています。

マイクロチップに関してはこちらの記事をご覧ください

不妊去勢手術をしている

自由に繁殖できる状況では、あっという間に数が増えてしまい、殺処分に繋がります。また不妊去勢手術により一般におだやかな性格になり、マーキングが少なくなり、ケンカでケガを負ったりすることも少なくなります。
また、定期的な健康診断は病気の早期発見と治療に役立ちます。動物病院で定期検診を受け、必要な予防接種やフィラリア予防を行うようにしましょう。

不妊去勢手術のメリット

不妊去勢手術は、犬や猫の健康と生活の質を向上させる多くのメリットを持っています。まず、手術を行うことで繁殖を制御し、子犬や子猫が増えることを防ぎます。攻撃性やマーキング行動などの問題行動が軽減されるため、飼い主とワンちゃんやネコちゃんとの生活がより穏やかで楽しいものになるでしょう。不妊去勢手術を行うことは、ペットの健康と幸福を守る一歩です。
地域によっては、手術費用に助成金が出る自治体もあるので、確認してみましょう。

定期健康チェックのすすめ

健康診断を定期的に受けることで、病気の早期発見や早期治療が可能になります。歯石や歯周病などの口腔ケアや心臓や腎臓、糖尿病、癌などを行い、異変に気づけば、治療や生活習慣の見直しが行えます。問題が起きてからでは手遅れになることがありますので、欠かさず行うようにしてください。

犬や猫を飼える住居で暮らしている

様々な住民がいる集合住宅では、所有者の許可が必要です。飼い主のマナーと社会性が厳しく問われ「こっそり飼ってしまおう」、「みんなが飼っているから」などと自分勝手にルールを無視したり、近隣に迷惑をかけたりしてはいけません。

犬や猫を飼うためには、まず住居の規定を確認しましょう。多くのアパートやマンションにはペット飼育に関するルールが存在します。ペット可の物件を選び、飼育頭数や種類についても確認しておきましょう。

ペット飼育可能な住居

物件選びの際には、ペット飼育が許可されているかどうかを確認しましょう。許可されていて種類や頭数が定められていることがあります。猫1頭まで、小型犬のみといった物件もありますので事前に確認が必要です。
また、ペット用の設備が整っているかもチェックしましょう。例えば、ワンちゃんが快適に過ごせるようにベランダや庭があるのか防音の設備が整っているのかも確認するようにしましょう。

ペット可物件は値段が高く、敷金も1ヶ月分負担額が多いからといってこっそり飼うのはやめましょう。もし退去になってしまうと追加で引越し費用も掛かってしまいますので、ルールは必ず守ってください。

ペット向け住宅についてはこちらの記事をご覧ください

同居する家族が全員犬や猫を飼うことに賛成している

突然の病気やアクシデントに見舞われたときも、家族の協力があれば乗り越えることができます。家族の誰かがペットを嫌ったり無関心でいたりすることは大きなストレスになり、問題行動の原因となることもあります。
家族が全員がペットを愛し、世話をする環境が整って初めて、ペットは安心して暮らすことができます。

同居する家族に動物に対するアレルギーを持つている人はいない

家族にアレルギー体質の人がいる場合は、動物の毛やふけ、排泄物などにアレルギ一反応を起こす可能性があるので、医師に相談するなど慎重な判断が必要です。
ペットが過ごすエリアは特にこまめな掃除を行うことが大切です。家族全員が安心してペットと共に暮らせるからこそ、ペットも幸せになれるのです。

近隣に迷惑をかけないように配慮している

犬や猫の鳴き声、臭い、ふんの放置は、多くの地域で近隣トラブルの元となっています。適切なしつけや防音対策などもしなくてはいけません。

騒音問題を防ぐために、ワンちゃんの無駄吠えをしないようにしつけを行いましょう。散歩やトイレの際に他人の敷地や公共エリアを汚さないよう配慮することが重要です。

また、放し飼いをしてしまうと近隣に迷惑をかける可能性があり、地域のコミュニティとの関係を悪化させてしまいます。自宅での衛生管理も大切です。臭いや汚れが近隣に影響を与えないように心掛けましょう。
これらの配慮を行うことで、ペットとの生活が周囲との良好な関係の中で楽しめるようになります。

毎日欠かさず世話に時間と手間をかけている

犬や猫は生きていくための全てをあなたに依存します。ご飯を与える、散歩に連れていくといった沢山の世話があり、これらをこなす時間が必要となります。

ペットと暮らすには、毎日の散歩や遊び、ブラッシング、爪切り、ご飯の提供などがあります。特にワンちゃんの場合、毎日の散歩はストレス解消や運動不足の防止に非常に重要です。猫ちゃんも室内での運動や遊びが必要で、爪とぎやキャットタワーを用意すると良いでしょう。ご飯はそれぞれのペットに適した栄養バランスを考えたものを選びましょう。適切なケアを続けることで、長く健康で幸せな毎日を過ごすことができます。

犬猫のペットフードの選び方

年齢・体重・活動量に応じた栄養バランスを考えましょう。子犬や子猫、成犬や成猫、老犬や老猫では健康維持に必要なカロリーも違います。それぞれに適したものを選ぶ必要があります。また、肥満やアレルギーなど健康状態に対応するためのペットフードも販売されているので、体調に合わせて適切なフードを選び、愛犬や愛猫の健康をサポートしてください。

犬や猫の飼育費用を考えた生活をしている

犬や猫を飼うには、生体の購入代金だけなく、その後もお金がかかります。

犬や猫の飼育を始める際には、費用と生活のバランスをしっかり考えることが重要です。飼育費用には食事、医療、トリミング、おもちゃなどが挙げられます。これらは日々の生活費と調整しながら計画的に準備する必要があります。特に、予想外の医療費や臨時の出費にも対応できるよう、予め備えておく必要があります。

必要な飼育費用

犬や猫の適正飼養を行うためには、事前に飼育費用の内訳を把握しておくことが重要です。

アニコムHDとペットフード協会が飼育費用について公表しています。2社のデータには乖離があり、アニコムHDはペット契約者を対象にしているデータのため、国内のペット保険加入率約20.1%と考えるとペットフード協会の数字が一般的と言えるでしょう。
※ペット保険加入率参照元:株式会社富士経済「2024年ペット関連市場マーケティング総覧」

アニコムHDの調査によると、必要な金額は以下の通りです。

1年間にかける費用
犬:338,623円
猫:169,281円

ペットフード協会の調査では以下の通りです。
犬:183,237円
猫:107,158円

毎月の支出をリストアップし、費用を計算しておきましょう。不測の事態に備えて、貯金をしておくと安心です。

犬の飼育費用について詳しく見る

猫の飼育費用について詳しく見る

飼えなくなったときのことを考えている

犬や猫を飼う際には、将来の計画を立てることが重要です。飼育が困難になった場合の対策を事前に考えておきましょう。突然入院してしまったり、最悪の場合亡くなってしまうなど、不幸なアクシデントもあるかもしれません。代わりに飼ってくれる人を見つけておくなど、万一のとき、あなただけを頼りとして生きている命をいかに守っていくかも考えておくべきです。

家族や友人、信頼できる方などに事前相談しておくことが大切です。他にも信頼できるペットシェルターや里親制度を活用することも調べておきましょう。
将来の計画がしっかりしていることで、飼い主も心の余裕を持つことができ、ペットとの生活がより幸せなものになるでしょう。

まとめ

適正飼養を実施するためには基本的な知識だけではなく、心構えや地域コミュニティとの繋がりが重要です。愛犬は愛猫が幸せに暮らせるよう、適正飼養を実践するようにしましょう。

ペットと飼い主のウェルビーイングを解説

執筆:equall編集部

 

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