先月、「国内で犬が新型コロナウイルス陽性」という報道がありました。
この報道を見て、「犬にも新型コロナウイルスが感染する」と不安な気持ちになった方も多かったのではないでしょうか?
ただ、この報道はたくさんの誤解によって、本来の報道とは少し違う内容で広まってしまったようです。少し難しい内容ですが、どういう事なのか、正しく理解していきましょう。
報道発表の正確な内容
検査を行った会社からの正確な報告内容は「国内で初めて、犬で新型コロナウイルスのPCR検査陽性確認」でした。
確かに、PCR検査陽性ということは報道されています。
人での日々の感染者数の報告も、PCR検査陽性者数が発表されているので、PCR検査陽性=感染というように受け止めてしまいますが、じつは必ずしも=(イコール)ではないのです。
感染するとはどういうこと?
感染とは、病原体となる微生物が、宿主となる生物の体内に入り、定着・増殖することと定義されています。
例えば、インフルエンザの場合、インフルエンザウイルスが気管支や肺に侵入し、増殖して感染成立となります。
PCR検査でわかることは?
検討会では、国内の状況と合わせて、既に数値規制がある欧米も参考にしています。
ただし、動物愛護先進国と言われる欧米での数値は今回示されたものよりもさらに厳しい物です。
PCR検査とは、ウイルスの中の遺伝子を増やして可視化し、その存在を証明する検査です。
つまり、検体採取部位にウイルスがいる事を証明するための検査です。
感染者となる生物だけでなく、新型コロナウイルス陽性の人の部屋にあるリモコンやコップなどの物体もPCR検査を行うと陽性となります。(物体の場合、ウイルスが本来存在する場所ではないため、付着してから数日でウイルスは消失すると言われています)
人の検査場合、付着の可能性を限りなく減らし感染を証明するため、検体を鼻と喉の奥、鼻咽頭のぬぐい液で検査を行います。
感染したことを証明するための検査は?
体内に病原体が入り増殖すると、病原体を排除するために免疫系が働いて抗体が作られます。
抗体を検出する事で、体内にウイルスが入り、感染したことが証明できます。
ただ、新型コロナウイルスはまだ新しい感染症であまりデータが集まっていないこともあり、感染後どれくらいの時間で体内で抗体が作られるか正確な事がまだわかっていません。
そのため現時点では「過去に感染していた」事を証明する検査となります。
報道を再確認してみる
今回の報告はPCR検査陽性ではありますが、抗体検査ではないため、必ずしも感染を確認したというものではありません。
未知の部分も多い新規の病原体なので、今後の経過などで展開は変わってくる可能性がありますが、犬に関して現時点では、必要以上に感染を心配する必要はありません。
4月の記事でお話した通り、ペットへの感染予防の一番の対策は飼い主さんが感染しない事です。
新しい生活様式(6月の記事)に準じて、感染対策を行いながら、今まで通りペットと楽しい生活を送ってください。
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