【獣医師監修】犬と猫の避妊・去勢手術のメリットとデメリット

ここ最近、コロナ禍の影響で犬猫を飼うご家庭が非常に増えてきたというニュースを見るようになりました。初めて犬猫を飼う方は混合ワクチンや狂犬病、フィラリア予防など意外とやらなくてはいけないことが多いと実感している方もいるのではないでしょうか。

今回は飼い主さんからも質問される犬猫の不妊手術について解説していきたいと思います。

  • 去勢手術によって予防できる病気
  • 避妊手術によって予防できる病気
  • 避妊・去勢手術によるデメリット

去勢手術(きょせいしゅじゅつ)によって予防できる病気

去勢手術とは雄が不妊のために行う手術であり、精巣を摘出する手術になります。予防できる代表的な病気は以下のものになります。

前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)、前立腺嚢胞(ぜんりつせんのうほう)

 前立腺肥大、前立腺嚢胞は精巣から分泌されるホルモンによって引き起こされる病気になります。症状としては頻繁におしっこに行く回数が増え、血尿になりまた強い炎症を起こすと膀胱付近に痛みが伴い食欲が低下するなど様々な症状が現れます。

※前立腺・・・前立腺は膀胱の後ろ側に位置し、精巣で分泌される精子に栄養を与えたり、運動機能を助けたりします。

肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)

こちらも精巣から分泌されるホルモンにより肛門周囲にできる良性の腫瘍の事を指します。この腫瘍が直接命に関わる病態になることはありませんが、血尿を伴いペットの生活の質を下げてしまう恐れがあります。

精巣腫瘍の予防、精巣関連疾患

精巣にはセルトリ細胞腫、間質細胞腫(かんしつさいぼうしゅ)、精巣上皮腫(せいそうじょうひしゅ)といった腫瘍が発生します。
腫瘍以外にも精巣炎や精巣捻転など腫瘍以外の疾患もあります。これらの病気も去勢手術を行えばもちろん予防は可能です。

会陰(えいん)ヘルニア

会陰ヘルニアは肛門周囲の筋肉が薄くなり、薄くなった筋肉の隙間から腸がでてきてしまう病気の事を指します。症状としてはうんちが出にくくなり、出てきた腸の部分にうんちが溜まってしまいます。さらに進行していくと腸だけではなく膀胱や前立腺なども筋肉の隙間から出てくるためおしっこが出にくくなり、命に関わる状態まで進行します。筋肉が薄くなるのは精巣からでるホルモンに関係があると言われ去勢手術をすることにより、その発生率を大幅に下げることができます。

会陰・・・肛門周囲の筋肉のことをまとめて会陰領域(えいんりょういき)と呼びます。

避妊手術(ひにんしゅじゅつ)により予防できる病気

避妊手術とはメスが不妊の為に行う手術で、卵巣(らんそう)、または卵巣と子宮(しきゅう)の両方を摘出する手術になります。予防できる代表的な病気は以下のものが挙げられます。

子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)

子宮蓄膿症は読んで字のごとく子宮に膿が溜まる病気です。避妊手術を行っておらず、子供を産んだことがない雌に発生することが多く、放置してしまった場合、命の危険もある疾患です。時期としては発情が終わる時期が多いです。この時期が一番子宮の中の免疫が落ち、細菌感染が起こしやすくなるためです。治療の第一選択は手術で卵巣と子宮を摘出してしまう事です。避妊手術の際に卵巣のみの摘出でも発情が起きなくなるので十分に予防効果があります。

乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)

雄雌に関わらず、お腹には左右に5つずつの乳頭があります。(個体によって多少前後します。)乳腺腫瘍は主に雌で発生し、各乳頭の下に位置する細胞が腫瘍化することを指します。

不妊手術による乳腺腫瘍の予防効果に関しては最初の発情が来る前に避妊手術を行うことで9割以上の乳腺腫瘍が予防できます。

乳腺腫瘍には良性と悪性がありますが、良性の物も拡大し破裂することで将来的な生活の質を落とす原因となります。もし万が一腫瘍を発見した場合には早期摘出が望ましいと言われています。

避妊・去勢手術によるデメリット

デメリットに関しては肥満と麻酔のリスクがあげられます。不妊手術を行うと代謝エネルギーが減り食欲が増していく傾向になるため、以前と同様の食事量では肥満になりやすくなります。

体格に合わせた食事管理をきちんとすることで、肥満のリスクは回避することが可能になります。麻酔のリスクに関しては身体検査や血液検査、レントゲンなどの術前検査を実施しておけば、予め麻酔によるリスクを予測する事が可能です。
ただし、全くリスクのない手術はありませんので、不安点などをきちんとかかりつけ動物病院の先生に相談ておくことをお勧めします。

最後に・・・

避妊・去勢手術を行うメリットを理解し、手術を行う飼い主さんが増えてきましたが、まだ手術を悩まれる飼い主さんは少なくありません。子供を産ませたい、健康な体にメスを入れるのが嫌だなどその理由も様々です。絶対に行わなければならない手術ではないので、長生きできるにはどうすればよいかを考え不安な事があればかかりつけの獣医さんに相談してください。

equall LIFEでは犬が快適に暮らせる物件やお役立ち情報を紹介していますので、参考にしてみてください。

 

執筆:獣医師 小島成承

 あなたにオススメ