犬や猫にやさしいフローリングは飼い主さんにもやさしい
フローリングのお部屋は見た目もおしゃれで、ベッドやテーブル、いすを使う今の暮らしにもマッチしています。しかし犬や猫にとってフローリングは滑りやすく、ケガをする危険があるという欠点があります。そこで犬や猫に優しく、飼い主さんも快適に過ごせるフローリング選びのポイントをご紹介します。
足元が滑るフローリング材は犬猫の関節に悪影響
フローリングは、人間の大人が暮らす快適さが重視されていました。しかし犬や猫にとっては固すぎ、滑りやすいという欠点があります。滑ることは、犬や猫の足腰の関節を傷め、ケガの原因となります。
犬や猫の肉球と爪のしくみ
まずは犬や猫の肉球と爪のしくみを見てみましょう。犬は歩くとき、爪で地面をつかみ、肉球でどのようなところを歩いているか感知しています。肉球は、走ったり歩いたりするときの衝撃を吸収し、犬自身の足音を消す役目も持っています。
この機能を爪が発揮できるのは土の上などであり、フローリングは爪を立ててもつかむことができず滑ってしまいます。
猫の肉球も衝撃を吸収し、音を立てないようになっているのは犬と同じです。鋭くとがった爪は、小さな獲物を捕らえたり、木に登ったりするのに便利です。そのため、犬よりも物を上手につかめるようになっています。猫がブロック塀などを登れるのも、滑り止めのある肉球と爪があるからです。しかしフローリングには爪を立てることができません
滑ると関節を傷めるなどのケガのもとに
フローリングで犬や猫が滑ることで関節に負担をかけ、さらには骨折や脱臼などケガをする危険性があります。特にジャンプしたり、高いところから飛び降りて滑ったりという場合は衝撃も大きく危険です。
猫もキャットタワーや家具から飛び降りたり、多頭飼いで追いかけっこをしたりしたときに滑ってじん帯を痛め捻挫をしてしまうことがあります。
小型犬は筋骨格系疾患が多い
アニコムどうぶつ白書2017によると、ミニチュアダックスフンドの筋骨格系疾患の請求割合は10.7%、コーギーが10.8%と柴犬の5.6%に比べて2倍近くにもなっています。ポメラニアンでは10.3%、パピヨンは10.5%と小型犬で筋骨格系疾患が高めです。
高齢ペットは滑って立てなくなることもある
高齢になると筋肉が衰えてくるため、姿勢を保つことも困難になってきます。立ちあがろうとするだけで足が滑り、骨折や脱臼をしてしまうことがあります。視力も衰えてくるので、段差のあるところでは特に危険です。
猫も高齢になると、筋肉の衰えや関節のゆるみから滑りやすくなります。アニコムどうぶつ白書2017によると、猫の筋骨格系疾患は1.4%と泌尿器疾患の13.4%に比べて少なめですが、年齢が上がるにつれて2%に近づき、増えていっています。
温度変化にも注意が必要
フローリングは、床暖房をしない限りひんやりしています。床に座ったり、寝転んだりすることの多い犬や猫にとって、冬のフローリングは冷たすぎることもあります。
犬や猫にやさしいフローリング
では犬や猫にやさしいフローリングはどのようなものでしょうか?
滑りにくい素材
ペット向けに作られたフローリングの木材としては、マツ、スギ、オークなどがあげられます。無垢(むく)は汚れや傷が付く可能性もありますが、滑りにくく犬や猫も安心です。
例えば北海道林産試験場では、ペットが滑りにくいトドマツやカラマツを使ったペットのための床材を開発しています。
https://www.hro.or.jp/info_headquarters/domin/magazine/20.html
衝撃を吸収する素材
ある程度クッション性があると、飛び降りたときやジャンプしたときのケガ予防になります。犬や猫の足音も意外と響くことを考えると、衝撃を吸収し、音が響かないことも大切なポイントです。
お手入れしやすい素材
お手入れのしやすさは、飼い主さんのためだけではなく、犬や猫にとっても大切なことです。
犬や猫は排泄の失敗や嘔吐も多いという特徴があります。特に高齢になると、尿漏れも増えてきます。
そのため汚れがすぐしみこんでしまう素材や、汚れが落としにくい素材は細菌やカビが発生しやすくなります。不潔になってしまうため、犬や猫だけでなく人の健康に悪影響を及ぼす恐れもでてきます。
抜け毛が舞い散らない・こびりつかない
犬や猫は毛が抜けやすく、床に落ちてしまいます。扇風機やエアコンの風で抜け毛が舞い散ったり、フローリングにこびりついたりするのは人間にとってもよくありません。掃除機や使い捨てモップで、抜け毛をさっと取り除けるフローリングが理想です。
犬や猫にやさしいフローリングに近づけるには
犬や猫にやさしいフローリングを用意したいけれど、今は賃貸でフローリングを替えることができない、予算的に困難ということもあります。身近なものを使って、犬や猫にやさしいフローリングにする方法もあります。
カーペットやコルクマットを上手に使う
カーペットやコルクマットをフローリングに敷く方法です。裏面に滑り止め加工をしているものを選ぶか、カーペットの下に滑り止めマットを敷いて使います。
カーペット・コルクのメリット
犬や猫が滑らないだけでなく、衝撃を吸収してくれます。またフローリングに傷もつかないので、賃貸でも安心です。カーペットは保温性もあるので、寒さが苦手な犬や猫にも向いています。コルクは温度があがりにくいので、夏場の使用にも向いています。家具を設置したあとでも、犬や猫が通るところだけに敷けることもメリットです。
カーペット・コルクのデメリット
排泄物や嘔吐などの汚れが染みてしまうことです。対策としてはタイルタイプを選ぶと、汚れた部分だけはずして洗うことができるので便利です。すき間から汚れがフローリングに染みていることがあるので、時々めくってチェックしておきましょう。
毛の長いループタイプのカーペットは、犬や猫の爪が引っかかってケガをする恐れがあります。抜け毛も絡みやすいので、毛がないカーペットがおすすめです。
クッションフロアを敷く
家具を入れるまえなら、クッションフロアを敷き詰めてしまう方法もあります。クッションフロアは塩化ビニール樹脂でできおり、掃除がしやすく傷が付きにくいのが特徴です。継ぎ目もないので、汚れが入り混む心配もありません。部屋の形や大きさに合わせてカットできるので便利です。
塗るだけのコーティング剤も
フローリングにコーティング剤を塗るという方法があります。「犬猫用滑り止め」と書いてあるコーティング剤を選べば、犬や猫がなめても大丈夫です。
コーティング剤を塗ったフローリングと、犬や猫がよく通るところにカーペットやコルクを敷けば、犬や猫に快適な環境を作ってあげることができます。
まとめ
犬や猫にやさしいフローリングは、飼い主さんも安心して過ごせることにつながるので、結果として犬や猫だけでなく、飼い主さんにもやさしいということになります。これからペットとの住宅を探す方は、ペットのフローリングを使ったペット共生住宅や賃貸住宅から選ぶ方法があります。
タイルタイプのカーペットやコルク、クッションフロアを使ったり、コーティング剤を塗ったりすることで犬や猫にやさしいフローリングにすることもできます。飼い主さんのライフスタイルや犬や猫の状況に合わせて、やさしいフローリング作りをしてみてください。
・参考資料:ペット賃貸カンパニー
equall LIFEでは犬、猫が快適に暮らせる物件やお役立ち情報を紹介していますので、参考にしてみてください。
<執筆>
ペット賃貸カンパニー
https://pethome.jp/