Z世代(1996年~2012年生まれ)は、インターネットと共に成長したデジタルネイティブ世代です。彼らのSNS利用は、単なる情報収集だけでなく、自己表現、コミュニティ形成、購買行動に大きく影響を与えています。本記事では、Z世代のSNS利用の特徴や最新トレンドを解説します。
Z世代が利用する主要SNS
特徴
- ビジュアル重視のSNSとして、ファッション・グルメ・ライフスタイル情報の発信が活発。
- ストーリーズ機能を活用し、リアルタイムな投稿や親しい友人とのつながりを重視。
「フィード投稿は完璧に、ストーリーズは気軽に」と使い分ける傾向。
トレンド
- リール短尺動画の台頭:。TikTokに対抗し、ショート動画コンテンツが増加。
- 表向きのアカウントとは別に、身内向けのアカウントを持つケースが増加。
TikTok
特徴
- 短尺動画中心で、エンタメ・情報発信の場として圧倒的な人気。
- アルゴリズムの最適化により、自分好みのコンテンツが次々と表示される。
- クリエイター文化が発展し、「バズる」ことを目的とする投稿が多い。
トレンド
- 企業もZ世代のUGCを活用したマーケティングを展開。
- 音楽と連動。流行のBGMに合わせたダンスやチャレンジが人気。
X(旧Twitter)
特徴
- リアルタイム性の高さが特徴で、ニュースや話題の拡散が早い。
- 匿名性の高さにより、パーソナルな発信がしやすい。
- 趣味・推し活(アイドル、アニメなど)での活用が目立つ。
トレンド
- サブ垢文化。本垢とは別に、趣味や本音を投稿するためのアカウントを複数持つ傾向。
- ハッシュタグ文化の継続。トレンドに乗る投稿が多い。
Z世代のSNS利用の特徴
自己表現とセルフブランディング
Z世代は「自分らしさ」を重視し、SNSを通じてパーソナルブランドの確立を図る傾向があります。特にInstagramでは、「 aesthetic(美的感覚)」を意識した投稿が増えています。
情報収集ツールとしての活用
Google検索よりも、TikTokやInstagramで情報収集する若者が増加しています。特に、商品のレビューやトレンド情報はSNSでチェックすることが一般的になっています。
コミュニティ志向の強さ
匿名性の高いXや、趣味ごとのコミュニティが充実しているDiscordなどを活用し、同じ価値観を持つ人々とのつながりを重視する傾向があります。
Z世代のSNSトレンド
「推し活」の活発化
アイドル・アニメ・ゲーム・クリエイターなどの「推し」をSNSで応援する文化が定着。Xでは「#〇〇尊い」「#推し活」のハッシュタグが日常的に使われています。
「消える投稿」への移行
Instagramストーリーズ、Berealなど、24時間で消える投稿が好まれる傾向があります。
AI・フィルターの活用
AIによる画像加工や音声合成、フィルター機能を駆使したクリエイティブな投稿が増加。特にTikTokではAIボイスやエフェクトが人気。
Z世代向けSNSマーケティングのポイント
エンタメ性を重視する
広告やプロモーションも、単なる宣伝ではなく、面白い・共感できるコンテンツでなければ注目されません。企業もインフルエンサーを活用した**「バズる」施策**が求められます。
リアルな体験をシェアできる場を作る
商品やサービスを実際に使ったユーザーの声(UGC)を促進し、SNS上での拡散を狙うことが重要。
「共感」と「価値観の一致」を意識する
Z世代は、ブランドの価値観に共感しないと購買行動に移らないため、企業の姿勢や社会貢献も重要視されます。
2023年調査データ
主要SNSの年代別利用率
Z世代(15-25歳)の利用率TOP3のSNSは、「Instagram」「X」「TikTok」ですが、これらすべてのSNSは年齢が上がれば上がるほど、年代別の利用率が低いことが分かります。
特に「Instagram」は年代が上がる毎に約10ポイントずつ利用率が下がっており、その傾向が顕著にうかがえます。
また、「TikTok」は、Z世代の利用率が51.9%に対し、26-29歳が29.4%と近い世代でも利用率の差が大きくみられ、特に「TikTok」は、よりZ世代中心のSNSであることが分かります。
「X」は、26-29歳においては利用率が71.6%であり、Z世代(71.7%)とほぼ同等の数値となりました。一方、その上の30-39歳になると利用率は54.1%と大幅に低くなっていることから、Z世代から20代を中心としたSNSと言えます。
世帯年収別SNS利用率
Z世代の主要SNS「Instagram」「X」「TikTok」の利用率を世帯年収別に比較すると、「Instagram」「X」において大きな差は見られない一方で、「TikTok(400万円未満33.8%・400~600万円未満25.5%・600万円以上28.5%)」においては、本調査内で最も世帯年収が低い区分である「400万円未満」の利用率が、400万円以上に対して高いことが分かります。これは「TikTok」が他のSNSに比べ、より若いユーザーに利用されていることが原因と予想されます。
主要SNSの性年代別利用率
主要SNSの利用率を性年代別で見ると、ほぼ全ての年代において男性よりも女性の利用率が高く、女性を中心にSNSが利用されていることが分かります。
※例外は「X」の50代(男性42.2%・女性30.1%)、TikTokの40代(男性19.9%・女性13.1%)、50代(男性16.0%・女性12.1%)のみです。
特に「Instagram」は他のSNSに比べて男女差が大きく、Z世代ではどの属性でも女性が20ポイント以上男性を上回ります。(高校生:男性66.0%・女性88.8%、大学生:男性64.6%・女性90.8%、25歳以下社会人:男性57.8%・女性85.9%)
また、Z世代より上の26-29歳、30-39歳においては、女性が30ポイント以上も男性を上回っています。(26-29歳:男性48.5%・女性85.4%、30-39歳:男性39.8%・女性72.3%)「Instagram」は30代までの女性が7割以上利用しており、とくに男女差の大きい「女性中心のSNS」と言えます。
また、「X」は大学生以上の男性が最も利用しているSNSであることが分かりました。
男子高校生の利用率は「Instagram」が「X」をやや上回って(「Instagram」66.0%・「X」62.6%)いますが、「X」の利用率は男子大学生(71.4%)、25歳以下社会人男性(64.6%)、26-29歳男性(65.5%)において他主要SNSより高く、6割を超えています。
そして、30-39歳(男性55.3%・女性52.9%)、40-49歳(男性47.6%・女性47.1%)、50-59歳(男性42.2%・女性30.1%)においては、他のSNSより男性の利用率が高い上、同年代の女性の利用率を上回っています。
「TikTok」は女子高校生に最も多く利用されています(69.9%)。また、それぞれの利用率は、高校生(男子51.5%・女子69.9%)、大学生(男子41.7%・女子53.9%)、25歳以下社会人(男性34.5%・女性59.7%)となっており、若ければ若いほど利用率が高く、高校生・大学生・25歳以下社会人の女性がメインの利用層だと言えます。
調査概要
回答者:全国男女15歳~59歳 2,884サンプル(年代・学年・性別毎に均等割付)
Z世代(16~25歳)の高校生・大学生・社会人 1,256サンプル
26~59歳 1,648サンプル
調査期間:2023年11月13日(月)~11月14日(火)
調査手法:インターネットリサーチ
2024年調査データ
世代別利用率
Z世代が最も利用しているSNSは「YouTube」で利用率86.3%、2位「Instagram」74.0%、3位「X」70.8%、4位「TikTok」54.8%でした。
なお、Z世代・その上の世代26歳以上の利用率の差が大きかったSNSは、以下の通りです。
TikTok :差26.6pt(Z世代54.8%・その上の世代26歳以上28.2%)
Instagram:差20.9pt(Z世代74.0%・その上の世代26歳以上53.1%)
BeReal. :差20.4pt(Z世代21.4%・その上の世代26歳以上1.0%)
X :差16.6pt(Z世代70.8%・その上の世代26歳以上54.2%)
Pinterest :差13.1pt(Z世代20.0%・その上の世代26歳以上6.9%)
世代別SNS認知率
Z世代・その上の世代の認知率の差が大きかったのは以下の通りです。
BeReal. :差54.2pt(Z世代81.3%・その上の世代27.1%)
Discord :差35.3pt(Z世代61.8%・その上の世代26.5%)
Threads :差28.7pt(Z世代71.2%・その上の世代42.5%)
whoo :差28.7pt(Z世代39.0%・その上の世代10.3%)
Pinterest :差27.2pt(Z世代61.2%・その上の世代34.0%)
調査を行った全てのSNSの中で、Facebookは唯一、Z世代よりもその上の世代の認知率が高く、その差は4.4pt(Z世代84.3%・26歳以上88.7%)でした。
「BeReal.」に次いで認知率の差が大きいSNSは、ボイス・ビデオ・テキストコミュニケーションアプリ「Discord(Z世代61.8%・26歳以上26.5%・差35.3pt)」、2023年7月6日にMeta社がサービスを開始したテキスト型SNS「Threads(Z世代71.2%・26歳以上42,5%・差28.7pt)」と続く一方で、この認知率の差が大きかった上位3つのSNSのZ世代における認知率はすべて6割を超えています。
調査概要
【調査概要】
回答者 :全国男女15歳~59歳 2,884サンプル(年代・学年・性別毎に均等割付)
Z世代(16~25歳)の高校生・大学生・社会人 1,236サンプル
上の世代(26~59歳) 1,648サンプル
調査期間:2024年11月8日~ 11月9日
まとめ
Z世代のSNS利用は、単なる情報収集ツールにとどまらず、自己表現やコミュニティ形成、消費行動にも大きな影響を与えています。今後、AIやバーチャル技術の進化とともに、新たなSNSトレンドが生まれることが予想されます。企業や個人がZ世代をターゲットにする際は、彼らの価値観やトレンドを的確に捉えたSNS戦略が必要となるでしょう。
執筆:equall編集部
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