猫を家族に迎えたいと考えたとき「猫と暮らしたいがペット可の賃貸物件はどのくらいあるのだろうか」「どのような賃貸物件を選べばよいのだろうか」などの疑問が浮かぶ方も多いでしょう。
しかしペット可の賃貸物件は、実際には件数が少ないのが現状です。そこで今回は、東海エリアでのペット可物件数の現状と、物件の探し方や選び方にくわえて退去時の注意点についてご紹介します。
目次
猫と暮らすうえでの課題点
近年、保護猫ブームもあったことから、昔に比べて猫を家族の一員として迎える方が多くなっていると同時に、猫と暮らすための賃貸住宅を探す方も多くなっています。
しかしマイホーム暮らしの方だと問題ありませんが、賃貸住宅で暮らしている方にとって、ペットと暮らすためのお部屋探しが大変だと感じることも多いのではないのでしょうか。
前述したように、ペット可の賃貸物件はまだまだ少ないのが現状です。
さらに犬や小動物に比べて、猫は飼育不可とされている物件が多くあります。
なぜならば、猫は爪とぎをおこなう習性があることから、どうしても室内を傷つけてしまうため、飼育をお断りしている大家さんが多いからです。
また、ペットによる汚れや破損した室内にクリーニングや修繕をおこなう時間を要するために、次の入居者が案内できず、空室期間が長くなることも大家さんが猫の飼育を不可にしている原因の一つです。
【東海エリア】ペット可物件率の現状を調査!
東海エリアでは、ペット可物件はどのくらいあるのでしょうか。
2023年3月時点でのペット可物件数を、賃貸物件・中古物件・新築物件の3つに分けて、それぞれの物件数と割合を以下の表にてご紹介します。
東海エリア4県のペット可物件数
賃貸物件 | 全物件 | ペット可物件 | 割合 |
愛知県 | 290,249 | 41,180 | 14.2% |
岐阜県 | 23,844 | 3,545 | 14.9% |
三重県 | 24,025 | 2,576 | 10.7% |
静岡県 | 83,574 | 10,243 | 12.3% |
中古マンション | 全物件 | ペット可物件 | 割合 |
愛知県 | 5,480 | 2,107 | 38.5% |
岐阜県 | 242 | 93 | 38.3% |
三重県 | 177 | 70 | 39.8% |
静岡県 | 1,200 | 432 | 36% |
新築マンション | 2全物件 | ペット可物件 | 割合 |
愛知県 | 158 | 85 | 53.7% |
岐阜県 | 11 | 7 | 60.6% |
三重県 | 11 | 4 | 32.4% |
静岡県 | 13 | 5 | 41% |
※2023年3月時点の物件検索サイトの数値を元に算出しております
上記の表のように、中古マンションと新築マンションに比べて賃貸物件のペット可物件が少ないのが分かります。全物件数の10〜14%ほどしか空室がないのが現状です。
猫と暮らすための賃貸物件を探すコツ
そもそもペット可の賃貸物件が少ないなかで、猫と暮らせる賃貸物件を探すのは大変なこと。そこで猫と暮らすための賃貸物件の探し方のコツを以下にご紹介します。
不動産会社に直接相談する
不動産ポータルサイト上で、猫と暮らせる賃貸物件がなかなか見つからないといった場合には、希望するエリアにある不動産会社へと直接相談してみましょう。
不動産会社によっては、空室状態が続いていてなかなか埋まらない物件の大家さんに、ペットの飼育ができるように交渉してくれるケースもあります。
不動産会社に直接問い合わせたり訪れたりする際には、予約日時を守ることや条件などを明確に伝えるなどの基本的なマナーを大切にするとよいです。
不動産会社は入居者になる方の人柄や対応をチェックしています。
「この人だと大家さんに紹介しても安心だ」と思ってもらえると、大家さんに交渉してくれる可能性も高まるでしょう。
条件を広げて探す
希望エリアを広げたり、間取りや築年数などの条件のポイントをより絞って探すと、猫と暮らせる賃貸物件が見つかる可能性が高くなります。
ペット可の賃貸物件の多くは、築古物件や駅から遠い物件であり、空室対策で「ペット可」の付加価値をくわえたものです。
そのため、ご自身の希望する条件のなかで、これだけは譲れないものだけを残し、エリアを広げたり条件をゆるめたりして、ペット可の物件を見つけられる確率を高めましょう。
猫と暮らす賃貸物件の選び方やアイデア
猫と暮らすには、猫にとって安全であることと、ストレスなく住みやすい環境を与えてあげることが大切です。猫と暮らすための賃貸物件の選び方や、楽しく暮らすためのアイデアを以下にご紹介します。
猫の習性にあった物件を選ぶ
猫の習性や好みにあった、ストレスフリーな物件を選びましょう。
猫は、高い場所と上下運動を好むため、階段があるメゾネットタイプの物件や一戸建ての賃貸物件がおすすめです。
階段があると、駆け上がったり下がったりすることが可能になり、運動不足の解消へとつながります。
また、猫は日向ぼっこが好きな動物です。
南向きで窓から日光が入りやすい物件を選ぶとよいです。
さらに、猫はもともと単独で行動する習性から、一人になる時間が必要とされています。部屋を分けてあげられるように、間取りに余裕がある物件だとなおよいです。
猫と飼い主が、お互いにストレスなく楽しく暮らせる物件を選びましょう。
猫にとって安心で安全な物件であるか
猫の安全面なども考慮して、周辺環境や間取りには注意して物件を探すことが大切です。万が一の病気や、突然のケガなどにもすぐに対応できるように、動物病院が近くにある物件を選ぶと安心です。
通院が必要な病気になったときも、病院までの移動時間が長いのも猫にとってストレスにつながるため、できる限り近い場所を選びましょう。
また、猫はとても素早く、玄関から外へと飛び出してしまう恐れがあります。玄関とリビングまでにドアがある間取りの物件だと安心です。
さらにベランダに飛び出してしまう恐れもあるため、落下防止となる一階のお部屋がおすすめです。
賃貸物件でも猫と楽しく暮らすためのアイデア
賃貸物件でも猫と楽しくストレスなく暮らすために、工夫をしましょう。
まずは、上下運動が好きな猫のために、キャットタワーは欠かせません。置き型のキャットタワーは、手軽でおすすめです。
しかし、賃貸物件でも壁に穴を開けずに、キャットタワーのDIYをおこなうことが可能です。
ディアウォールやラブリコと呼ばれている、天井を床を突っ張ることで板を固定する装置を使用すると、手軽にキャットタワーが作成できます。
次に、爪とぎが欠かせない猫は、壁で爪を研ぐこともあるため、事前に対策しておきましょう。
爪とぎアイテムをいくつか設置したり、壁紙に保護シートやプラスチック段ボールを貼ったりするのがおすすめです。
賃貸物件でもアイデアと工夫次第で、猫との生活が充分に楽しめますよ。
猫と暮らした賃貸物件を退去するときの注意点
猫と暮らした賃貸物件を退去する際には、一般的な賃貸契約に比べていくつか注意しておきたい点があります。ここでは、猫と暮らした賃貸物件を退去するときの注意点を、以下にご紹介します。
一般的な賃貸に比べて退去時の精算が高額
猫と暮らす賃貸物件では、退去時の精算が一般的な賃貸に比べて高額になります。なぜならば、猫の習性である爪とぎによって壁や床が傷つけられたり、においが室内に染み付いてしまうからです。
経年劣化による室内の破損は貸主の負担ですが、猫による室内の破損や汚れは基本的には借主の負担となります。
そのため、猫と暮らす賃貸物件は、一般的な賃貸物件の入居時に必要な敷金に、家賃1~2ヶ月分プラスして預けるケースがほとんどです。
退去時には、猫による室内の破損部分の修繕費やハウスクリーニング費用は、敷金から充てられます。
万が一、預けた敷金からでは費用が足りない場合には、追加で費用請求される点には注意してください。
部屋の隅々まで掃除をする
猫と暮らした賃貸物件の退去時には、床や壁、窓ガラスなどの掃除を、できる限り念入りにおこないましょう。
通常の賃貸物件に比べて、猫を飼育している部屋だと、不動産会社は細かく傷や汚れの確認をします。
退去時には、原状回復費用とハウスクリーニング費用が請求されますが、室内があまりにも汚れたままだと、さらに上乗せしてクリーニング費用を請求される可能性があるため注意が必要です。
猫の習性上、弱くなっている姿を誰からも気付かれないようにするために、部屋の隅で嘔吐することが多いです。
また、猫の毛は部屋の隅に溜まってしまっていることも多いでしょう。
このように室内の意外な場所に、猫による汚れが付着している場合も多いため、部屋の隅々まで掃除をすることが大切です。
借りていた部屋を、きれいにしてから気持ちよく大家さんに返せるようにしましょう。
まとめ
東海エリアにおいてペット可の物件数は、全体の賃貸物件数の10〜14%ほどしかないのが現状です。
猫の飼育が可能な物件数はさらに限られてくるため、不動産会社に直接相談したりエリアなどの条件を広げたりして、猫がストレスなく安心して暮らせる物件を探しましょう。
また、退去時の精算が高額になる点には注意し、猫と暮らすための予算には余裕を持つことが大切です。
執筆:土屋香名子
■プロフィール
関西大学卒業後は大手ハウスメーカーにて勤務。その後結婚・出産を経て現在は不動産管理会社で勤務しながら自身の経験も活かして不動産関連の記事を多数執筆中。学生時代には柴犬と一緒に暮らしていた経験有り。現在は保護猫2匹を迎え入れ、賑やかな毎日を送っている。宅地建物取引士。