ペットフードの基礎知識!安新・安全なペットフードとは

飼い主さんの安全なペットフード利用について

あなたは、一緒に暮らしている愛犬や愛猫に必要な栄養のことをどのくらい知っていますか? もしフードの選択を誤ったり、与え方を間違えていたら、知らず知らずのうちに、あなたの大切なペットは健康を損ねてしまうかもしれません・・・。

日頃の体調をよく観察しましょう

愛犬や愛猫の日常の健康状態を毎日よく観察しましょう。肉付き、毛のつや、食欲や食べる量、フンや尿の状態などを毎日の世話の時に必ずチェックするようにしましょう。
ペットの健康状態を把握するためには、定期的に健診をうけることが勧められますが、もし急激な体重の増減や食欲がない状態や下痢が何日も続くなどの異常がある場合には、すぐに獣医師に相談しましょう。
予防接種の履歴や、病歴などよく理解しているかかりつけの獣医師がいると安心です。
★適切なフードを与え、ペットの健康と安全を守るのは、飼い主の責任です。

栄養のバランス、摂取してもよいものが人間と違います

猫はもともと肉食性の強い動物なので、犬に比べてたんぱく質や脂肪を多く含むフードを与える必要があります。また、人間や犬は体内でタウリン(アミノ酸の1種)を作れますが、猫は作れないので、タウリンが十分に含まれたフードを与えないと、目の障害や心臓疾患を引き起こしてしまうこともあります。

犬は雑食性の動物なので、必要な栄養素は猫よりも人間の食事と似ています。しかしそれでも、たんぱく質などは人間よりも多く必要とします。
犬や猫は人間と違って、全身に汗をかかないため余分な塩分を汗によって体の外へ出すことが出来ません。そのため人間と同じ食事を与えると塩分摂取量が多くなり、心臓や腎臓に負担をかけてしまいます。
また、人間が当たり前に食べている食品でも、チョコレートやネギ類など、犬や猫では中毒を起こすこともありますから注意が必要です。

与える量や回数にも気を配りましょう

必要なフードの量や回数は品種、年齢、性別、健康状態、運動量などによって、個体ごとに異なります。市販のフードには、与える量や回数の目安が表示されているので、それを参考にして、ペットの体調や体形の変化(太ってきた、やせてきた)、状態に合わせて調節するようにしましょう。

子犬や子猫は、生後約1年で大人とほぼ同じ体になります。この間は急激に成長するため、大人になった犬や猫に比べて多くのエネルギーが必要です。1回に食べられる量は限られていますから、高エネルギーで消化のよいフードを1日3~4回に分けて与えるようにしましょう。
高齢(犬や猫の7歳が人間の50歳前後と同じくらい)になると、基礎代謝量が低下して太りやすくなったり、消化機能が低下したりします。腎臓や心臓など内臓の働きも落ちてきますので、塩分やミネラルの取りすぎにも注意が必要です。

必要な栄養素(エネルギー源)

市販のフードを与える場合

犬や猫用のペットフードは、その目的により、「総合栄養食」、「間食」、「療法食」、「その他の目的食」に分かれます。目的にあったフードを選びましょう。

総合栄養食 このフードと水だけで必要な栄養素がまかなえる製品
間食 おやつとして与える製品
療法食 病気治療時に治療補助として使用する、治療内容に合わせて栄養成分を調整した製品
その他の目的食 特定の栄養素やカロリーの補給、嗜好性の増進などを目的として与える製品

たとえば、いくら「間食」が好きでも、それだけを与え続けると栄養が偏ってしまいます。人間がおやつばかり食べていては、健康を保てないのと同じです。

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手作りのフードを与える場合

手作りフードを与える場合には、犬や猫の栄養必要量、与えてよい食材などをよく理解したうえで、たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル量などの栄養バランスに注意しましょう。あなた自身が犬や猫の栄養士となって、食材を組み立ててあげる必要があります。

フードの賞味期限や保存方法

市販のフードには、賞味期限や保存方法が表示されています。これらをよく確認し、製品にあった方法で保存しましょう。 また、開封した市販の缶詰フードやレトルトフード、手作りフードなどが余ってしまった時は、必ず冷蔵庫に保存し、早めに与えましょう。 また、ドライフードは、しっかりと密封して湿気が少なく直射日光の当らない冷暗所で常温保存するようにしましょう。 なお、農林水産省のホームページにも事業者のみなさま向けQ&Aに賞味期限を過ぎたペットフードに関する掲載がされていますのでご参照下さい。

販売に関するQA
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/p_qa/hanbai.html

インターネット販売に関するQA
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/p_qa/internet.html

飼い主さんから行政へお問合せされる際の窓口はこちら
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/p_toiawase/kankyo_zimusyo.html

ペットフードの安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)

「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称ペットフード安全法)」は、平成21年(2009年)の6月1日に施行されました。

法律の第三条では、ペットフードの製造・輸入・販売にかかわる事業者は、ペットフードの安全性の確保に第一義的責任を有し、ペットフードの安全性確保に係る知識・技術の習得、原材料の安全性の確保、ペットの健康被害防止に必要な措置の実施に努めなければならないと定められています。

一般社団法人ペットフード協会は、ペットフードの安全性の確保を確実とするため、協会会員社はもとより、国内外の関連する事業者に対し、法令順守の推進と関連情報の提供に努めてまいります。

対象となるペットフード 総合栄養食、一般食のほか、おやつやスナック、ガム、サプリメント、ミネラルウォーターなど犬・猫が食べるもので、動物用医薬品等以外のもの(動物用医薬品等は薬事法での規制により、本法対象外)
ペットフードの基準・規格の 設定 国はペットフードの製造方法及び表示の基準、成分の規格を定めることができ、その基準・規格に合わないペットフードの製造・輸入又は販売を禁止することができる
有害な物質を含むペットフードの製造等の禁止 ペットの健康に害をもたらす怖れのある有害な物質を含むペットフードの製造、輸入及び販売の禁止
ペットフードの廃棄等の禁止 国は、基準・規格に合わない、あるいは有害な物質を含むペットフードが販売等された場合、事業者に対してそのペットフードの廃棄、回収等を命令できる
製造業者等の届出 法人、個人を問わず、ペットフードの輸入又は製造を行う事業者は、それらの行為を行う前に、氏名、事業場の名称等の届出を義務化(届出先は、主たる事業所が所在の各都道府県の農林水産省地方農政局等)
帳簿の備付け ペットフードの輸入業者、製造業者又は販売業者(小売の場合は除く)に、販売等したペットフードの名称、数量等帳簿に記載することあるいはコンピュータで記録、保存することを義務化
報告徴収、立入検査等 帳簿の備付けの状況、輸入・製造されたペットフードが基準・規格に適合していることなどを確認するため、国及び(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)は、ペットフードの輸入業者、製造業者及び販売業者等に対して報告、立入検査等を実施

ペットフード安全法をはじめとするペットフード関係法令についてはこちらをご参照ください。
環境省 自然環境局
農林水産省
農林水産消費安全技術センター

ペットフードの定義

ペットの飼育の際には、ペットの適正な発育と健康維持・増進のために必要な栄養素をペットへ毎日食物補給する必要があります。 また、ペットは飼い主から食物を与えられなければ、適切な日常の食物摂取ができない生き物です。その為に考え出され、安心・安全に製造・流通・小売されているのがペットフードです。

ペットフードの詳しい定義

ペットフードとは、穀類、いも類、でん粉類、糖類、種実類、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類、魚介類、肉類、卵類、乳類、油脂類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、その他の添加物等を原材料とし、混合機、蒸煮機、成型機、乾燥機、加熱殺菌機、冷凍機等を使用して製造したもの、又は天日干し等簡易な方法により製造したもので、一般消費者向けに容器に入れられた又は包装されたもので、犬の飲食に供するもの又は猫の飲食に供するものをいう。

※なお、ペットとは、愛玩飼育動物である犬・猫・小動物・鳥・両生類・爬虫類・魚類までを言い、そのためのペットフード(主食)、トリーツ(おやつ)、 動物用栄養補助食品(サプリメント)及び飲料(水だけでなく、水に栄養物質や嗜好性物質が加えられたもの)となります。

ペットフードの様々な配慮のポイント

ペットフードは、ペットの栄養補給と健康維持・増進のために製造されたペット専用の食物であり、ペットと飼い主へは、次のような配慮がなされています。

  1. ① 必要な栄養素の配合
  2. ② 給餌量の設定
  3. ③ おいしさ・食べやすさ
  4. ④ 保存性(賞味期限の設定)
  5. ⑤ 表示の分かり易さ(製造国、製造者、目的、栄養分、量等)
  6. ⑥ 安全な原料や製造方法

購入しやすいこと・保管が簡単でペットに与えやすいことから、多くの飼い主により利用されています。

ペットフードの種類

目的別での分類

 
ペットフードは、給与目的を機会で分けると主食と間食に分けられます。主食としてのペットフードは「総合栄養食」と言い、当該ペットフードと水を与えていれば必要とされる栄養素が摂取できるように作られています。「間食」は本来、栄養素補給としては必要ないのですが、ペットのしつけや運動、ご褒美として与えるなど限られた量を与えることが意図されているペットフードです。

 

目的別による分類は、「総合栄養食」「間食」「療法食」、そのいずれにも該当しない「その他の目的食」に分かれます。

また、ペットフードの区分としては次のようなものがあります。

区分 定義 分類
ドライ 製品水分10%程度以下のフード。加熱発泡処理された固形状のものがほとんどです。水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性に配慮して多くは水分含有量10%以下となっています。 ドライ
ソフトドライ 製品水分25~35%程度のフードで、加熱発泡処理されています。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。 ソフトドライ
セミモイスト 製品水分25~35%のフードで、押し出し機などで製造され、発泡していないものです。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。 セミモイスト
ウェット缶詰 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、缶詰に充填されたフード。 ウェット
ウェットその他 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、アルミトレーやレトルトパウチに充填されたフード。

(1)総合栄養食

「総合栄養食」とは、ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品であって「ペットフード公正取引協議会」の定める試験の結果を基に定められています。ペットフードの目的として「総合栄養食」と表示をする場合は、そのペットフードが適用となる犬又は猫の成長段階が併記されています。「総合栄養食」と表示をするためには、各事業者が自らの責任において定められた試験を行わなければなりません。

1つは、製品の分析試験の結果を施行規則の栄養基準と比較し、栄養成分の基準に合致しているかを証明する「分析試験」。もう1つは、実際に給与試験を行って総合栄養食であると証明する「給与試験」。この2つの試験により証明されています。

(2)間食

間食とは、おやつやスナック又はご褒美として、限られた量を与えることを意図したペットフードです。一般には、おやつ、スナック、トリーツなど、これらに類似する表現・表示がされています。 
間食は、適切な栄養量を維持するために給与回数及び給与限度量の表示や主食での給与量の調整が必要な旨の表示により注意喚起がされています。給与限度量は、原則として1日当たりのエネルギー所要量の20%以内に抑えることが求められています。

間食の更に細かい分類としては素材などから、練り加工品・素材ベース品・ガム・デンタル・菓子類、他、に分類・区分されています。分類ではその水分含有量別に、ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェット、又、水分含有量からは分類できないものをその他としています。

(3)療法食

獣医師が犬や猫の疾病の治療などを行う際、人間の場合と同様に、栄養学的なサポートが必要な場合があります。 「療法食」とは、治療の内容の合わせてフード中の栄養成分の量や比率が調節され、治療を補助する目的で使用されるフードで、獣医療において獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを意図したものをいいます。

(4)その他の目的食

「総合栄養食」「療法食」及び「間食」のいずれにも該当せず、特定の栄養の調整又はカロリーの補給、あるいは嗜好性増進などの目的を満たすもの、更にはペットフード又は食材とともに与えられることを意図したものを言います。使用の目的により下記のように具体的に示されています。

区分 定義 分類
副食・おかずタイプ 嗜好増進等の目的で与えるペットフードで、一般食(おかずタイプ)、一般食(総合栄養食といっしょに与えてください)、副食、ふりかけ等と表示される。 製品の性状により、ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェット、その他に分類
栄養補助食 特定の栄養の調整やカロリーの補給などを目的としたペットフードで、栄養補完食、カロリー補給食、動物用栄養補助食(動物用サプリメント)等と表示される。 その他

ペット種別での分類

ペットの種別で、当然必要なペットフードの栄養バランスは違ってきます。

市場では、一般にドッグフード、キャットフード、小動物、鳥、魚のフードが容易に購入できます。

分類 内容
ドッグフード ライフステージ別・機能目的別・犬種別・素材・パッケージなどにより多種多様な種類が存在している。
キャットフード ライフステージ別・機能目的別・猫種別・素材・パッケージなどにより多種多様な種類が存在している。
小動物用フード ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモット、リス用など動物種別が一般的。
鳥用フード インコ、カナリヤ、文鳥等の小鳥用とニワトリ、チャボ、ハト、キジ、九官鳥、オーム等の観賞鳥用の専用フードが存在。
観賞魚用フード 鯉、金魚、熱帯魚、フナ、メダカ、タナゴ等淡水魚、海水魚等の観賞魚用の専用フードとなります。魚によって肉食、草食、プランクトンなどその種類により摂取する餌が決まっており、それにあわせたフードが必要になる。
その他 両生類、爬虫類、ザリガニ、ヤドカリ等その他のペット用フードがある。

大型犬・小型犬などのサイズの違いや、室内犬か活動犬かによってもフードが異なります。なぜならば犬のサイズや生活様式により、体重あたりのエネルギー要求量が違ってくるからです。

ライフステージ別での分類

犬・猫は、下記の成長段階に合わせたフードを選択する必要があります。また、前述した通り、「総合栄養食」と表示をする場合は、そのペットフードが適用となる犬又は猫の成長段階の併記が必要であることが「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」で求められています。「施行規則」に定められている成長段階は栄養要求量の高い順に

  1. ①:「妊娠期/授乳期」
  2. ②:「幼犬期・幼猫期/成長期又はグロース」
  3. ③:「成犬期・成猫期/維持期又はメンテナンス」
  4. ④:①~③まですべてを満たす場合は「全成長段階/又はオールステージ」

と分類されています。一般的には下図のようなライフステージ別の表記がされています。

分類 内容
妊娠期/授乳期用フード 生後4週齢前後まで。
いわゆる代用乳。犬・猫の母乳の成分をもとにした粉ミルクや液状のミルク。
幼時期/成長期用フード 生後8週齢前後まで。
いわゆる離乳食。離乳期にはいきなり粒状のペットフードを与えるのではなく、フレーク状や粉末状のものをペーストにしたものやウェットタイプにした食べやすく、消化吸収のよいものを与え慣らすことが必要です。
1歳(大型犬までは1歳半、超小型犬では10ヶ月齢)まで。
いわゆる幼犬・幼猫食成長期又はグロースと表示され、発育に必要とされるビタミン、ミネラルとアミノ酸などが強化され、十分なタンパクや脂質などが取れるように設計された栄養総合食となっています。
維持期フード 1歳から6~8歳前後まで(個体ごとで異なる)。
成犬・成猫食。成犬・成猫用と表示され、様々なタイプのフードが存在しています。
6~8歳以降から。高齢犬・高齢猫食。
高齢犬や高齢猫が増加しており注目されている領域です。運動量や代謝が低下しますので低脂肪・低カロリーのもの、各機能の低下に配慮して配合比率を調整したもの、補完のために機能性原料を各種加えたものなど多種多様です。

機能別での分類

機能別分類は、分類としてまだ定着しているものではありませんが、各社が多種多様に製品化しており、また療法食の分野では機能目的をはっきりさせることが必要となっており、今や一つの分類として定着しつつあります。数多くある機能の中で、現在代表的な機能性フードとしては肥満対策フードや猫の毛玉対策フードが挙げられます。

ペットフードの原材料

食資源の確保

ペットフードには、犬や猫の必要な栄養基準を満たしバランスよく栄養を供給することが求められています。さらに、つねに安定した価格で、嗜好や健康に考慮した製品を製造するために、優れた品質の原料を大量に確保することが必要です。しかし、ペットフードの主原料である、穀物、畜肉類、魚類等は天然原料であり、天候や季節によって収穫に大きく影響を受けることもあります。また、自然のものは、地域、気候、季節によって栄養成分が異なる場合があります。ですから、どのような原料供給の状態にあっても、製品に同一の栄養成分が確保できるよう、主原料の部分的な入れ替えが必要に応じて行われています。

ペットフードには、食品に使用される原料・食材が利用されています。加えて、植物性原料を含む多くの飼料原料も利用されています。かつては、ペットフードは人があまり利用しない原材料を有効利用することにより、人の食材と競合しないようにして製造されていました。

食用原料とペットフード用の原料の違いは、使用目的と効率の良さによる違いです。たとえば、人から見ると味や食べやすさで多少劣っていても、高い栄養価や経済性からペットフードにとって価値ある原料として利用されます。ところが「人が食べている原料だから安心」との消費者ニーズもあり、今日では人の食材の利用が高まり、人の食材と競合するようになってきています。たとえば猫用缶詰は、1960年代から1980年代は食用の缶詰製造時にニマグロやカツオの白身以外の利用されない血合肉(白身肉と同じ筋肉ですが、血液と同じ色素成分が含まれ、栄養成分的には白身肉より多くの有用成分を含んでいます)を使用した缶詰が主でしたが、最近は食用と同じ白身肉主体の缶詰が増えてきています。

一方、世界全体では人口問題や環境問題が深刻さを増しており、限りある食資源をより効率的に活用することが求められています。食資源確保の観点からも、製造に携る事業者の一層の企業努力と、ペットフードの原料について消費者のよりよい理解を得ることが大切だと考えています。

安全性の確保

ペットフードに使用される原料については、安全に利用するための法律が各国で整備されており、食品と同水準の品質管理が行なわれています。日本でペットフードに使用される原料は「ペットフードの表示に関する公正競争規約」において定義されており、例えば畜肉原料は、「新鮮または適正な方法により保存されている」ことが定められています。

トレーサビリティシステムの確立

トレーサビリティシステムとは「追跡可能性」という言葉があてられることが多く、原材料の生産から加工、流通、販売などの各段階において、必要な情報を記録・保管し、商品とその情報とを追跡できるようにするものとされています。ペットフード安全法では、製造・輸入の業者登録が義務付けられており、必要に応じた行政の立ち入り検査が行える制度となっています。また、流通段階でも流通業者での商品の帳簿付けが義務付けられています。

ペットフード協会およびペットフード協会加盟各社では、ペットフード安全法の施行に先駆けていち早くこのトレーサビリティに取り組んでおり、肉骨粉(豚・鶏由来)等について原料発注から受け取り、使用、在庫に至るまで、その内容および流通過程を一括して管理しています。

BSE対策

平成13年に日本国内でBSE(牛海綿状脳症)が発生したことに伴い、農林水産省より安全性が確認されるまでの措置として国内における肉骨粉等の製造、流通、使用が一時禁止されました。 その後、牛由来原料の混入が全く無いことが確認された原料業者が製造した豚、鶏由来の肉骨粉等はペットフード原料としての利用禁止が解除されています。 又、平成19年12月4日からBSE非感染が確認された牛から抽出される食用油脂の製造工程から発生する肉粉等に限り、ペットフード用への利用が解除されております。

これらの豚、鶏由来の肉骨粉等、及び牛由来の肉粉等を使用したペットフードを国内で製造する場合、製造工場,生産設備について、 独立行政法人農林水産消費安全技術センターの立ち入り検査により製造基準適合確認を受け製造されておりますので、現在流通しているペットフードは安心してご利用いただけます。

輸入製品についても安心してご利用いただけるよう、ペットフード協会では、BSE汚染国からの牛由来の肉骨粉等を原料として使用しないよう、指導を徹底しております。

残留農薬・メラミン混入の対応

食品におけるメタミドホス混入事件が発生したことに鑑み、ペットフードに使用する原料に関しても、メタミドホスを含む5種類の残留農薬に関する基準がペット安全法により規定されました。また、成分値偽装で多くのペットにダメージを与えたメラミン混入に関しても、ペットフード製造各社の調査確認により、回収及び今後発生のない確認体制を各社毎に構築しています。また、ペットフード協会は定期的に農林水産省に報告しています。

ペットフードの給与方法

配合栄養分

ペットは飼い主から与えられた食事のみで栄養素を摂取しなければなりません。そのため、ペットフードには、いつも一定で安定した栄養成分が含まれている必要があります。例えば、たんぱく質を構成するアミノ酸の中で、動物が自分の体内で作ることができないため、必ず食物から摂取しなければならないものがあります。それは必須アミノ酸といい、その数は人間が9種類、犬は10種類、猫は11種類あります。ペットフードは、このような栄養素をバランスよく含んでいます。

人間や犬や猫が必要とする栄養素の種類はほぼ同じですが、食性・代謝が異なるために必要とする栄養素の量が大きく異なります。また、動物種やその成長の過程でも下記の表のように一日あたりの体重別エネルギー要求量が異なります。更に、犬や猫はエクリン汗腺が肉球にしかなく、全身に汗をかくことができないので、人間と違い、余分な塩分を汗によって排出することができません。そのため、必要以上に塩分を摂取すると、腎臓や心臓に負担がかかることになります。また、人間には害がなくとも、犬や猫にとっては好ましくない香辛料やネギ類などの食材があり、摂取すると中毒症状を起こす場合もあります。

成犬一日あたりの体重別エネルギー要求量

猫のステージ毎の一日あたりのエネルギー要求量

子猫の週令
体重(kg)

体重(kg)
kcal/体重(kg)
10週 1.1 0.9 250
20週 2.5 1.9 130
30週 3.5 2.7 100
40週 4.0 3.0 80
成猫50週令以上 kcal/体重(kg)
不活発 70
活発 80
妊娠期 100

ペットフードの給与方法

成長段階(ライフステージ)により必要となるエネルギー量が異なるので、それぞれの成長段階に合わせ、栄養バランスが考慮されたフードを与えることが必要となります。一日あたりの必要エネルギー量を目安に、与える食事にどのくらいカロリーが含まれるかで一日の給与量を算出し、それを食事回数で割って、一回あたりの量を決めます。冬は寒さをしのぐため消費カロリー必要量が高くなるといった季節による変動も考慮する必要があります。

食事回数の目安は、成犬や成猫では一日1~3回ですが、できる限り朝晩の2回以上とすることが望ましいと言えます。空腹の時間が長いと、嘔吐したり(胃液や胆汁を吐いたり)、体が飢餓状態にあると勘違いして必要以上に脂肪を貯めこみ肥満の原因となります。

尚、犬は犬種や成長段階によってかなりの体重差がありますので、その犬の体重に見合ったエネルギー要求量に合わせることが必要になります。ペットフードのパッケージには、このような点も考慮して、フードの給与量、給与回数などの給与方法の目安が表示されています。

栄養成分表示

ペットフードの栄養成分は、下記5成分の表示が義務つけられています。

たんぱく質 %以上
脂質 %以上
粗繊維 %以下
灰分 %以下
水分 %以下

必要に応じて他の成分も記載されていますが、栄養上必要であるたんぱく質や脂質は最低含有量を保証し『以上』と表示され、一方水分、繊維や灰分は保証値より多いとカロリーが低下したり、一定の栄養を摂取できない恐れがあることから、最大含有量を保証し、『以下』の表示をしています。

<犬と人はここが違う>

犬はもともと肉食動物ですが、人間との長い共生の歴史によって、雑食性の動物となっています。カルシウムやリン、カリウム、鉄といったミネラルは、特に発育途中の犬の骨格や体作りに欠かせない栄養素です。一方、ビタミンCは、人は体内で生成できないので、食べ物から摂取する必要がありますが、犬は体内で生成することができます。

<猫と人はここが違う>

肉食動物である猫は、人や犬より多くのたんぱく質や脂質を必要としています。猫の必須アミノ酸のひとつであるタウリンは、不足すると目の障害を引き起こしたり、心臓疾患を引き起こしてしまう恐れがあります。また、猫は必須脂肪酸であるリノール酸からアラキドン酸を体内で生成することができません。このタウリンとアラキドン酸は、肉や魚の動物性食品にしか含まれていません。更に、猫は野菜に含まれるカロチンを分解してビタミンAを摂取する機能をもっていないので、ビタミンAもビタミンAを含む動物性食品から摂取する以外にありません。猫にとって動物性食品は不可欠なものです。

ペットフードと添加物

添加物とは

ペットフードは、ペットが一定の栄養を安定的にとれるよう工夫されており、フードを通じてペットの健康に役立っています。安定的に栄養を提供するためのビタミン、ミネラルやアミノ酸などの栄養添加物、ペットフードの品質を一定に保つために使用される品質保持の添加物や、ペットの食欲を増進させるフレーバーなどの嗜好増進の添加物等、種々の添加物があります。

ペットフードに使用される原材料は、元々は自然・天然のものなので、そのままでは、そこに含まれる栄養素の量にバラツキが生じます。そこで、ペットフード中の栄養素を一定に保つために各種栄養添加物を使用します。ペットフードに使用される添加物は、食品や飼料に使用が許可されたもので、それらの添加物は人間および動物の健康を損なわないことを確認する安全性試験が実施されており、過去の使用実績等から安全であるとされているものです。

添加物の役割

ひとくちに添加物といっても、その役割や働きはいろいろあります。栄養分を強化し、栄養価を高める栄養添加物、酸化防止剤など品質を保持するための添加物、また嗜好増進を目的として酸などが利用されることもあります。ペットフードの栄養バランスを整え、有効成分を補強するためには、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類といった栄養添加物を欠かすことはできません。たとえば、猫は野菜等に多く含まれているカロチンをビタミンAに変換できないので、ビタミンAを添加して必要な量を摂取できるようにします。
また、日本人はわずかな色の違いにも敏感です。使用する原材料は、同じ種類でも産地や季節によって色が違うため、製品の色調がいつも一定になるように着色料が使われたりする場合もあります。そのほか、セミモイストやソフトドライフードなど半湿潤フードには、しっとりさを保つために湿潤調整剤が使用されています。

添加物を使用する際の基準と制限

日本では、ペットフード安全法で使用上の注意が必要な添加物について、科学的知見に基づき上限値が定められております。その他の添加物に関しては、日本国内の食品添加物や飼料添加物、アメリカ・ヨーロッパで定められた食品添加物またはペットフードに使用できる飼料添加物の基準等をもとに、各メーカーでその安全性を確認して使用しています。なお、飼料添加物として指定されている抗生物質や抗菌剤といった薬剤はペットフードに使用することはできません。また、特定のペットに使用すると弊害のあることが分かっている添加物は使用することができません。

添加物表示

ペットフードに使用される添加物は、まず初めにペットフード公正取引協議会でルール化され、使用した原材料(添加物を含む)全て記載するよう義務化されました。添加物の表示方法については「ペットフードの表示に関する公正競争規約」に定められ、ペットフードの製造に使用した添加物の個別の名称を記載することが、また、添加物を甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤および発色剤の目的で使用する場合は、何のために使われているのかがわかるように、その用途名も併記することになっています。これにあわせ、ペットフード協会では「ペットフードの表示のための添加物便覧」を作成して、消費者に分かりやすい表記になるよう、添加物表記の標準化を進めてきました。その後、ペットフード安全法でも添加物を含む原材料名の表示が義務付けられ、現在では、会員社のみならず、国内で流通するすべてのペットフードで添加物が表示されるようになりました。

酸化防止剤について

犬や猫は人間より体重あたりのカロリーを多く必要とします。そのためペットフードは、エネルギー源として油脂成分が多く含まれています。油脂はこのほかにも栄養成分として重要な働きがありますが、時間がたてば酸化や劣化が避けられません。
酸化が進むとペットフードの嗜好性が低下したり、体調が悪くなるなど健康にも悪い影響を及ぼすことがあります。また、総合栄養食には、必要とされる微量のビタミン類が多く含まれていますが、これらは酸化がはじまると有効性が薄れてしまい、保証された栄養バランスを維持することが困難になる場合があります。そのため、流通・保存期間中の酸化をゆるやかにし、製造されたときの品質を保つために酸化防止剤が使用されているのです。
この酸化防止剤は、保存料(腐敗の原因となる細菌やカビの増殖を抑制する働き)と混同されるケースがよく見られますが、日本の食品添加物では、両者はまったく別のものとして取り扱われています。
米国では、酸化防止剤が保存料の分類の中に含まれているため、米国での分類をそのまま訳したことから生じた誤解です。

参照元:ペットフード協会

まとめ

飼い主のみなさまは、ペットが一日でも長生きできるように、ペットフードについて学んで楽しいペットライフをお過ごしくださいませ。

執筆:equall編集部

 

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