獣医師が解説「繁殖業者やペットショップを対象とした数値規制」について

今年、2020年6月から改正動物愛護管理法が段階的に施行されていくことは、前回の記事でお話しました。

この施行と合わせて、環境省では繁殖業者やペットショップを対象とした「数値規制」を省令として作製すべく、現在検討が行われています。

詳細内容は今年秋までに決定し、来年6月の施行を目標としているため、数値は決定事項ではありませんが、どのような事を規制しようとしているのか?海外と比較するとどうなのか?見ていきましょう。

数値規制制定の背景

かねてより、海外と比較して日本は動物愛護後進国と言われてきました。
欧米では基本的に日本で見られるペットショップのような、ショーケースに子犬や子猫が入っていて販売されるということはありません。

ブリーダーから直接購入することが一般的で、親・兄弟と触れ合うことで形成される「社会化」がきちんとできた状態で渡されます。

また、法律の面でもブリーダーだけでなく、飼主側にも飼育に関する法律が定められており、違反した場合は罰金や禁錮など重い刑となります。
これまで、日本では飼育に関する数値の規制はなく、「動物虐待」の基準が明確ではなかったため、命の危険がある場合以外は行政による立ち入り調査などが出来ない状況でした。

今回、数値を明確に制定することによって、きちんと飼育されていない場合は立ち入り調査や罰則などを科すことができるようになるのです。

2020年7月10日の検討会で示された数値

省令を定めるにあたり、専門家や業界団体にヒアリングを行い、検討会を何度か開催し2021年6月までに正式決定する事になっています。
今回、検討会で示された数値は以下のような内容です。

  • ケージの広さは体長30センチの小型犬2匹の場合1.62平方メートル以上
  • ケージに入れっぱなしの場合、床面積体長の2倍×1.5倍、高さは体高の2倍以上を下限とし運動エリアに1日3時間以上出すことを義務づける
  • ケージの床に金網を使用することを禁止する
  • 犬猫共に繁殖のため交配出来るのは6歳までとする
  • 従業員一人当たりの飼育数は、繁殖業者では犬15匹、猫25匹。ペットショップでは犬20匹猫30匹を上限とする

また、定性的な基準として、毛玉で覆われていたり、爪が伸びすぎている状態も禁止内容に盛り込まれる予定です。

海外との比較

検討会では、国内の状況と合わせて、既に数値規制がある欧米も参考にしています。
ただし、動物愛護先進国と言われる欧米での数値は今回示されたものよりもさらに厳しい物です。

ドイツ

檻の最小床面積は、体高 50cm 未満で 6 ㎡、50~65cm で 8 ㎡、65cm 以上で 10 ㎡

アメリカ

囲いの高さの下限値は 24 インチ( 60.96cm )。体重 4 キログラム以下の猫には、 3,0 平方フィート( 0.28㎡)以上の面積。温度が10度を下回るときは、乾いた敷料、堅固な休息棚、その他、体温を保つものを与えな ければならない。周囲温度が、29,5度以上のときは、ファン、送風機、エアコンなどの補助通気装置を用いなけ ればならない。

今回、日本では初めて飼育に関する数値規制を行う省令を定めようとしています。

欧米と比較して数値が低く、まだまだ改善が必要など意見はたくさんありますが、省令ができること自体が不幸な動物たちを救うための大きな一歩です。
今後、どのように意見が交わされ、実際どのように決まるのか、動物を愛する一人の人間として、経過を見守っていきたいですね。

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執筆:アニマル ライフ パートナー 丸田香緒里

 

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