猫は「ご飯」より「人」を選ぶと判明!最新研究が覆す猫の常識

「猫は気まぐれで、ご飯の時しか寄ってこない」「名前を呼んでも無視される」

そんなふうに感じて、少し寂しい思いをしている飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫は単独行動を好む動物とされ、犬に比べて社会性が低いと思われがちです。

しかし、オレゴン州立大学の研究チームが発表した論文によって、その常識が覆されるかもしれません。今回は、猫が本当に好きなものは何なのかを科学的に調査した興味深い研究結果を、わかりやすく解説します。

結論から言うと、多くの猫にとって「一番の魅力」は、ご飯でもおもちゃでもなく「人間との触れ合い」であることがわかりました。

猫が一番「やる気」を出す報酬はなにか

しつけやトレーニング、あるいは単に仲良くなるために、猫が「何に喜びを感じるか」を知ることは極めて重要です。

これまで、猫はトレーニングが難しい動物だと考えられてきました。しかし、それは猫に能力がないのではなく、私たちが「猫のモチベーションを高める報酬(ご褒美)」を正しく理解していなかっただけかもしれません。

今回ご紹介する研究は、以下の4つのカテゴリーの中で、猫が何を最も好むかを厳密に比較したものです。

  • 社会的相互作用(人間との関わり)
  • 食物(ご飯やおやつ)
  • おもちゃ
  • 香り

対象となったのは、一般家庭で暮らすペットの猫19匹と、保護シェルターで暮らす猫19匹の計38匹です。

 

驚きの事実!猫の50%は「ご飯」より「人」を選んだ

この研究の最も注目すべき点は、猫に「好きなものを自由に選ばせる」という手法をとったことです。

まず、それぞれのカテゴリー(人、食、おもちゃ、香り)の中で一番好きなものを特定し、最後に「各カテゴリーのNo.1」を並べて、どれを一番に選ぶかを観察しました。

その結果は、多くの愛猫家にとって嬉しいものでした。

  • 50%の猫が「人間との交流」を第一に選んだ
  • 37%の猫が「食物」を第一に選んだ
  • 11%の猫が「おもちゃ」を第一に選んだ
  • 2%の猫が「香り」を第一に選んだ

半数の猫が、目の前においしいマグロや大好きなおやつがあるにもかかわらず、人間との触れ合い(遊んだり、撫でられたりすること)を選んだのです。

これは、「猫は独立心が強く、人には懐かない」という従来のイメージを覆すデータと言えます。

猫の好みの傾向と対策

では、具体的にどのような「関わり」や「ご飯」が好まれたのでしょうか。研究データを深掘りし、私たちが日常で活かせるポイントを整理します。

人間との関わり方は「遊び」が最強

人間との交流といっても、ただ一緒にいればいいわけではありません。実験では「撫でる」「遊ぶ」「話しかける」の3つを比較しました。

好まれた順位:

  1. 遊ぶ
  2. 撫でる
  3. 話しかける(最も人気が低い)

【ポイント】
猫に好かれたければ、ただ名前を呼んで話しかけるだけでなく、おもちゃを使って一緒に遊んだり、優しく撫でたりする物理的な接触が効果的です。特に活発な猫には「遊び」が最高のコミュニケーションになります。

食べ物は「ドライ」より「ウェット」

食べ物の実験では「チキン」「マグロ」「柔らかいおやつ」が比較されました。

好まれた順位:

  1. マグロ
  2. チキン
  3. 柔らかいおやつ

【ポイント】
多くの猫は、匂いが強く水分を含んだ「マグロ」を最も好みました。しつけのご褒美や食欲がないときは、ドライフードよりも香りの強いウェットフードや魚介系の食材が効果的である可能性が高いです。

おもちゃは「動き」が命

おもちゃの実験では「不規則に動くおもちゃ」「ネズミのぬいぐるみ」「羽のおもちゃ」が比較されました。

好まれた順位:

  1. 不規則に動くおもちゃ
  2. ネズミのぬいぐるみ(静止状態では人気薄)
  3. 羽のおもちゃ(静止状態では人気薄)

【ポイント】
床に転がっているだけのネズミのおもちゃには、猫はすぐに見向きもしなくなります。猫の狩猟本能を刺激するのは「獲物のように不規則に動くもの」です。飼い主さんが猫じゃらしを不規則に動かしてあげるのが、やはり最強のエンターテインメントと言えます。

香りは「マタタビ」一強だが、過信は禁物

香りの実験では「マタタビ」「スナネズミ(獲物)の匂い」「他の猫の匂い」が比較されました。

好まれた順位:

  1. マタタビ
  2. スナネズミ(獲物)の匂い
  3. 他の猫の匂い

【ポイント】
香りの中ではマタタビが圧倒的でしたが、全体(人・食・おもちゃ・香り)で見ると、香りを第一に選んだ猫はわずか2%でした。マタタビはリフレッシュには良いですが、「ご褒美」としての効果は、遊びやご飯に比べると低いようです。

 

ペットの猫と保護猫に違いはある?

「保護猫は人馴れしていないから、結果が違うのでは?」と思うかもしれません。しかし、この研究の興味深い点は、ペットの猫と保護猫の間で、好みの傾向に統計的な差がなかったことです。

つまり、保護シェルターにいる猫であっても、家庭で愛されている猫と同じように、人間との交流を強く求めているということです。

これは、これから保護猫を迎えようと考えている人にとって勇気づけられるデータです。今は少し怖がっている保護猫も、適切な接し方をすれば、ご飯よりもあなたとの時間を大切にしてくれるパートナーになる可能性を秘めています。

愛猫との絆を深めるための3つのステップ

今回の論文結果を元に、今日からできる具体的なアクションを提案します。

ステップ1:愛猫の「No.1」を見極める

平均的には「人との遊び」が人気ですが、個体差があります(37%はご飯派でした)。愛猫が「おやつを見せた時」と「おもちゃを見せた時」、どちらが目を輝かせるか観察しましょう。

ステップ2:ご褒美の質を上げる

ご飯派の猫には、いつものカリカリではなく、香りの強いウェットフードや特別なトッピングをご褒美にします。遊び派の猫には、新しい動きをするおもちゃを取り入れましょう。

ステップ3:話しかけるよりも「行動」で

「かわいいね」と声をかけるだけでなく、実際に体を撫でたり、5分でもいいので集中して遊んだりする時間を設けます。これが猫にとって最高の愛情表現として伝わります。

まとめ

今回の研究は、猫が私たちが思っている以上に「社会的な生き物」であることを証明しました。

  • 多くの猫は、ご飯よりも人間との交流(特に遊び)を好む
  • おもちゃは「動き」が重要、食べ物は「匂いと食感」が重要
  • 保護猫もペット猫も、人への関心の高さは変わらない

「猫は懐かない」という言葉は、もう過去のものです。愛猫が近寄ってきたら、それは「ご飯が欲しい」のではなく、ただ「あなたと遊びたい」「あなたに甘えたい」という純粋な愛情表現かもしれません。

その気持ちに応えて、今日はいっぱい遊んであげてくださいね。

 

参考文献:Vitale Shreve, K.R., Mehrkam, L.R., Udell, M.A.R., 2017. Social Interaction, Food, Scent or Toys? A Formal Assessment of Domestic Pet and Shelter Cat (Felis silvestris catus) Preferences. Behavioural Processes.

執筆:equall編集部

 








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