ペットと過ごす癒しの時間を形にしたのが「動物カフェ」です。特に「犬カフェ」や「猫カフェ」は全国各地に広がりを見せています。
動物と触れ合えるカフェは、犬や猫との触れ合いを目的とした営利目的のカフェと保護・譲渡を目的とした保護カフェがあり、その存在意義について議論になることもあります。本記事では、犬カフェと猫カフェの社会的意義、そして今後の課題についてわかりやすくご紹介します。
目次
猫カフェとは
猫カフェは、店舗で飼育している猫たちと利用者が触れ合えるスタイルのカフェがメインとなります。2000年代の“猫カフェブーム”を経て全国に広がりました。
猫は犬のように外出しないため、飼い主と訪れるカフェではなく、非飼育者を対象としています。
近年では触れ合いが目的ではなく、保護・譲渡を目的とした「保護猫カフェ」の広がりが顕著です。これは保護された猫を店舗で飼育し、来店者とのマッチングによって譲渡を目指すスタイルです。保護猫カフェは、殺処分ゼロを目指す社会の中で重要な役割を担っており、単なるサービス業ではなく、動物福祉の最前線に立つ存在なのです。
犬カフェとは
犬カフェとは大きく分けて2種類あります。
一つは「愛犬同伴型」のカフェで、飼い主が自分の犬と一緒に入店し、飲食を楽しみながら他の飼い主や犬たちと交流できるタイプ。もう一つは、お店が飼育している犬と触れ合える「犬ふれあい型」のカフェです。
前者のタイプは飼育者向けの店舗で、ドッグラン併設や犬専用メニューの提供など、まさに“飼い主と愛犬のためのサードプレイス”として人気を集めています。来店者同士が自然に会話を交わし、情報交換や悩み相談が行われるなど、人間同士のつながりを生む場としての側面も注目されています。
また、犬にとっても社会性を育む貴重な機会となり、しつけやマナーを身につける場として利用する飼い主も増えています。
後者のカフェは、店舗にいる犬と触れ合えるカフェであり、非飼育者が主なターゲットとなっています。
猫カフェのように徐々に保護・譲渡を目的とするカフェも増えていますが、多くは営利目的のカフェとなっているのが現状でしょう。
犬カフェ・猫カフェが持つ社会的意義
犬カフェと猫カフェは、動物と人が交わることで、さまざまな価値を生み出しています。
コミュニティの形成
犬カフェでは飼い主同士のネットワークが育まれ、共通の“好き”を持つ人たちが自然と集い、都市の中に小さなコミュニティが生まれるのです。
動物福祉の推進
保護犬・保護猫カフェは、譲渡の機会を広げるとともに、動物福祉についての教育・啓発の場としても機能します。動物と触れ合うことで「命の重さ」や「飼う責任」について自然と考える機会が提供されます。
犬猫カフェが抱える課題
一方で、動物カフェの拡大に伴い、以下のような課題も浮き彫りになっています。
動物福祉の問題
展示時間や休憩の確保など、動物愛護管理法の遵守が不可欠です。虐待問題が報じられたこともあり、すべての動物カフェに対しても健全な運営が求められています。
人と動物の適切な関係性の再構築
かわいさや癒しだけを求めるのではなく、動物の尊厳や快適さをどう守るかが、事業運営の鍵となるでしょう。
動物を展示して利益を得る手法には、批判が多い一方、お店を訪れる方が多いため、ビジネスとして成立しているのが現状です。ペットのストレスの上に成り立っているビジネスだということを忘れてはいけません。
行政指導が多い
動物愛護の問題になると、データではなく感情で判断していると思われがちですが、動物カフェについては、環境省がデータを開示しています。
環境省の資料によると、以下の通りです。
譲渡活動を行うカフェは33%であり、約2/3のカフェが営利目的での営業を行っており、22時までという遅い時間まで営業する店舗もあります。さらに、10社に1社という多くの店舗行政指導を受けていました。
参考データ：
環境省「猫カフェの実態調査」
環境省「猫カフェ業界の現況と猫カフェ協会による取組について」
まとめ
犬カフェと猫カフェは、それぞれ違う特徴を持つカフェですが、近年は営利目的の事業が普及しています。
規制の中で利益を最大化させようという考えは、ビジネスでは一般的なのかもしれませんが、命を扱う以上は、動物が持つ生命を尊重し、苦痛から解放され、幸せに生きる権利を保障しようとする動物愛護の視点から事業を行う必要があるのではないでしょうか。
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執筆：equall編集部
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