ペット業界は年々市場規模が拡大しており、コロナ禍以降「ペットを家族として迎える」「ペットにより上質なケアやグッズを与えたい」という意識が高まっています。それに伴い、ペット関連商品の需要も増えています。
特にEC（通販）での販売は、自宅にいながら気軽に商品を選べるという利便性から、飼い主たちにとって非常に魅力的な購入手段です。これからペットの通販をはじめたいと考えている企業の皆さまに向け、この記事では事業立ち上げ時に押さえておきたいポイントや注意点を中心に解説いたします。
目次
ペット業界のEC市場が注目される背景
近年、少子高齢化や共働き世帯の増加などの社会的変化を背景に、ペットを「家族の一員」と考える傾向が強まっています。飼い主さんはペットの健康や快適さを維持するためのフードやグッズに対して、よりこだわりを持ち、高品質な製品や独自性のある商品を探すようになっています。
さらに、飼育知識を得るための情報収集や商品リサーチにインターネットを活用する人が増えたことで、ECサイトで購入されるペット用品の種類や価格帯が広がっています。従来は実店舗で確認しづらかった珍しいペットフードや海外ブランド、オリジナルのグッズなどもオンライン上で手に入れられることが当たり前になりつつあります。
取り扱う商品やサービスの方向性を明確にする
ペットの通販事業を始めるにあたっては、まず「どのようなペット用品（あるいはサービス）をメインに取り扱うのか」を明確にしましょう。ペット用品と一口に言っても、以下のように多岐にわたります。
・ペットフード
一般的なドライフード、ウェットフードだけでなく、無添加・オーガニック・手作り系など付加価値の高い製品や療法食、機能性フードなどの特殊用途のフードが存在
・ケア用品
シャンプー、ブラッシング用品、歯磨きグッズ、消臭用品など
・おもちゃ、グッズ
知育グッズ、運動不足解消グッズ、ベッドやキャリーケース、洋服など
・健康サポートサービス
ペット保険、オンライン相談、サプリメントなど
特に既存ブランドの商品を取り扱うだけでは、価格競争に陥る可能性も否定できません。差別化のためには、オリジナル商品の企画・開発や他社にはない専門性の追求など、何らかの強みを打ち出すことが重要です。また、取り扱うペットの種類（犬・猫など）を明確にすることで、顧客ターゲットを絞り込みやすくなり、効果的なマーケティング戦略を立てやすくなります。
法的な注意点と許認可
ペットフード安全法に基づき、販売するフードやおやつなどの表示・品質管理に関するルールを守ることも大切です。健康食品やサプリメントなど、人間向け商品とは異なるルールがある場合もあるため、商品選定時やパッケージの表示方法については慎重な確認が必要です。
さらに、ECサイトで通信販売を行う上では、特定商取引法や個人情報保護法などの基本的な法律の遵守も欠かせません。商品代金の受け取り方法や返品ルール、個人情報の管理体制などを明確化し、サイト上に分かりやすく表示することで、消費者の安心感を高めることにつながります。
ECプラットフォームの選び方
ペット用品の通販を始める際には、どのようなECプラットフォームを選ぶかも重要です。以下のようなポイントを踏まえ、自社に合ったサービスを検討しましょう。
1.使いやすさ
サイトの構築や管理が難しいプラットフォームだと、開業の準備期間が長引くだけでなく、運用コストも増大します。デザインテンプレートや管理機能が充実しているもの、サポート体制がしっかりしているものを選ぶと安心です。
2.機能の充実度
決済方法の種類、在庫管理、顧客管理、分析ツールなど、EC運営に必要な機能が揃っているかを確認しましょう。将来的に商品数や顧客数が増えた際に柔軟に対応できる拡張性があると、スムーズに規模拡大できます。
3.カスタマイズ性
オリジナルブランドの世界観を演出するには、デザインやUIを自由にカスタマイズできるプラットフォームが理想です。特にペット用品のECサイトは写真や動画を多用するケースが多いため、見やすいレイアウトと豊富なデザインオプションがあるかどうかをチェックしてください。
4.費用面
初期費用や月額費用、売上に応じた手数料など、プラットフォームの費用体系はさまざまです。安さだけに注目すると必要な機能が不足していたり、将来的に拡張が難しかったりする可能性があります。自社の事業規模や成長戦略に合った費用対効果を重視しましょう。
代表的なプラットフォームとしては「Shopify」や「カラーミーショップ」などがあります。日本市場を意識したテンプレートやサポートが充実しているものも多く、初心者でも導入しやすいのが特徴です。
特にShopifyは、世界規模で利用されているサービスなので、ECサイトをこれから始める方におすすめです。
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ブランド構築とマーケティング戦略
ブランドコンセプトの明確化
ペット用品には大手メーカーが多数存在し、価格競争も激化しています。その中で自社ならではの強みを打ち出すためには、まずは「ブランドコンセプト」を明確に設定し、それに沿った商品やサービスを提供する必要があります。たとえば以下のようなコンセプトが考えられます。
- 原材料にこだわったフードブランド
- 特定の犬種・猫種向けに最適化した商品ラインナップ
- シニア向けの健康サポート商品
- デザイン性に優れたハイセンスなペット服・グッズ
一貫したブランドイメージを打ち出し、それに共感する顧客を獲得できれば、価格だけではない付加価値を提供し続けることが可能になります。
デジタルマーケティングの活用
ECサイトを立ち上げても、サイト訪問者を獲得できなければ売上にはつながりません。SNS（InstagramやX、YouTubeなど）やブログ、メールマガジンなどを活用し、定期的に情報発信を行いましょう。ペットのかわいい写真や動画はSNSで拡散されやすい特徴があります。SNS上でのキャンペーンやフォロワーとのコミュニケーションを通じて、ファンを増やしていくことも効果的です。
また、検索エンジンからの集客を狙う場合は、SEO対策も不可欠です。ペットフードやケア用品、飼い方のコツなど、顧客が求めそうなキーワードで記事やコンテンツを作成することで、専門性をアピールしながら検索経由でサイトへ誘導することができます。
実店舗との連携や体験型イベント
可能であれば、実店舗やポップアップショップなどを活用して商品の実物や飼い主同士の交流を通じた体験を提供することもおすすめです。飼い主さんが実際に商品を触れたり、試したりできる場をつくることで、ネットショップでも安心して購入してもらいやすくなります。オンラインとオフラインを組み合わせた“OMO（Online Merges with Offline）”の考え方は、ペットビジネスでも注目が高まっています。
equallでは、EC・SNSの運用支援を行っております。ECサイト運用・マーケティングでお困りの方はお気軽にご相談ください。
サービス品質と顧客対応
配送と包装への配慮
ペット用品は重いドライフードや割れ物のケア用品など、配送に配慮が必要な商品が多いのが特徴です。梱包材の選択や発送スケジュール管理をしっかり行うことで、商品到着時のトラブルを減らし、顧客満足度を高められます。
また、飼い主さんはペットへの“安全・安心”を最重視する傾向があります。食品衛生上の問題が起こらないよう、温度管理が必要な商品はクール便を利用するなど、適切な方法を選択しましょう。
アフターサポート
購入後の使用感やトラブルに迅速に対応できる体制を整えることも大切です。商品に対する質問・相談の窓口を設け、顧客が気軽に問い合わせできるようにしておくと信頼感が高まります。ペット用品には個体差や飼育環境によって効果・使い勝手が変わるものも多いため、的確なアドバイスを行うことで、リピーター獲得につながるでしょう。
レビューや口コミの活用
ECサイト上での顧客レビューは、他の購入検討者にとって非常に参考になります。ポジティブなレビューはもちろん、ネガティブなレビューに対しても誠実に対応することが、企業の信頼性を高めるカギです。レビュー投稿を促すキャンペーンや、定期購入サービス利用者へのフォローアップメールなどを実施し、顧客の声を集めましょう。
成功のポイントと今後の展望
ペット通販事業を成功させるためのポイントは、大きく以下の3点に集約されます。
1. 差別化された商品・ブランドコンセプト
強みや独自性を明確にし、「このブランドから買いたい」と思わせる価値を提供する。
2. 顧客とのコミュニケーションを重視
SNSやブログ、メールマガジンを活用し、顧客との信頼関係を構築する。購入後のアフターサポートも手厚く行う。
3. 利便性と安全性の徹底追求
配送や包装、品質管理を徹底して顧客の不安を払拭する。法令を遵守し、適正な運営体制を整える。
ペット業界は市場規模が拡大を続ける一方で、商品・サービスの数も増加し競合が激化しています。しかし、ペットを大切に思う飼い主さんの気持ちに寄り添った事業であれば、しっかりと顧客に選ばれ、ブランドとして愛される可能性は十分にあります。
オンラインとオフラインを融合させたサービス展開や、定期購入の仕組みなど、ビジネスモデルの幅を広げることで安定した収益源を確保しやすくなるでしょう。また、技術の進歩により、ペットの健康管理アプリやスマートデバイスとの連携といった新しい取り組みも今後注目を集めると考えられます。
まとめ
ペットの通販事業は、飼い主さんのニーズに合わせた多彩な商品やサービスを取り扱える魅力的な分野です。一方でペットフードには特有の法律・ルールが存在し、物流や衛生管理にも細心の注意を払う必要があります。適切な許認可の取得や製品管理の徹底、ECプラットフォームの選定、そして何よりもブランドコンセプトの確立と顧客とのコミュニケーションが成功への鍵となります。
飼い主さんの声に耳を傾け、ペットとともに豊かな生活を送るための価値を提供できる企業として成長していくためにも、継続的な情報発信とサービス改善を怠らず、顧客目線の取り組みを続けていきましょう。
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執筆：equall編集部
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