目次
最初に知っておきたいこと
必要な栄養素の違い
私たちと同じように、犬や猫は、たんぱく質、脂質を始め、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどの栄養素を食べ物から摂り入れなければ健康に生きることができません。しかし、犬と猫では、必要な栄養素の割合に大きな違いがあります。
犬は雑食
犬は、人と長い間、共同生活していく中で雑食性が進みましたが、人よりもたんぱく質を多く必要とします。
猫は肉食
猫は、人と暮らし続けていても肉食性を保ち続けたため、人や犬に比べてたんぱく質を多く必要とします。
フードの与え方
犬と猫にはフードの食べ方に違いがあります。犬や猫それぞれに合った方法でフードを与えましょう。
犬の場合
犬は、1回で1日分のフードを食べることが出来るほど大きい胃を持っているため、目の前にあるフードをお腹いっぱい食べる習性があります。
与える回数が1日1回の場合、慌てて飲み込んで、のどに詰まらせたり、肥満の原因になることから、1日分を数回に分けて与えるようにしましょう。
市販のペットフードの場合には、パッケージに表示してある給与量の目安や与え方を参考にしましょう。
猫の場合
猫は、昼夜を問わず頻繁に少量ずつ食べる習性があります。1日分のフードを2~3回に分けて与えるか、ドライフードを置いておき、いつでも食べることができるように工夫しましょう。ただし、フードを置いておく場合は、常に清潔にし、定期的に交換するようにしましょう。
水分の多いウェットフードや手作りフードなどは、品質の低下が早いため、そのまま置きっぱなしにせず、食べ残しはすぐに片付けましょ
飲み水
水は犬や猫の体の60~80%を占める重要な要素です。
体に必要な水分のほとんど(90~95%)は、飲み水及びフードから摂取されます。実際には食べているフードの種類や、気温、運動量などによっても大きく左右されるので、いつでも新鮮な水が飲めるように用意しましょう。
特にドライフードは水分含有量が少ないため、ドライフードを与えるときは必ず新鮮な水をフードのそばに置いておきましょう。また、猫にドライフードを与えるときには飲み水を複数箇所に置くことがおすすめです。
市販のペットフードの種類と選び方
市販のペットフードには、製品の形状や与える目的によってさまざまな種類があります。
主食は総合栄養食を選びましょう。また、ライフステージによって、必要なエネルギー量や栄養素のバランスは変化します。総合栄養食のうち、成長段階、気になる健康状態に合わせて選んだ上で、味や質感(水分含量など)は好みで選ぶことができます。
使用目的による分類
・総合栄養食
毎日の主要な食事として与えることを目的とし、新鮮な水と一緒に与えることで犬や猫の健康を維持できるように栄養バランスが整えられています。
・療法食
犬や猫の疾病の治療などの際に栄養学的なサポートをするために、治療の内容に合わせてフードの栄養成分を調整し、治療を補助する目的で与えるフードです。使用は獣医師の管理の下に行われます。
・間食(「おやつ」または「スナック」)
おやつやごほうび、ペットとのコミュニケーションの手段として与えるものです。ジャーキータイプや肉・魚・果物などの素材を乾燥したタイプ、乾燥野菜類、肉・魚・果物などを液状にしたジェル状おやつの他にオーラルケアにも役立つ成型ガム類、ボーロ・ビスケットなどの菓子タイプ等様々なものがあります。ペットが欲しがるままに与えて必要な栄養バランスが損なわれないように一日に与えて良い量、回数が記載されています。
・その他の目的食
犬や猫に給与されるフードで「総合栄養食」、「療法食」、「間食」のいずれにも当てはまらないものを総称してその他の目的食といいます。「総合栄養食」ではない缶詰、レトルトフード、栄養補給のサプリメント、食欲増進や特定の栄養成分の補給を目的としたものなどがあります。製品のパッケージには「副食」、「一般食(おかずタイプ)」、「栄養補完食」などと記載されています。
ライフステージによる分類
・哺乳期
誕生~30日ぐらい。母乳が飲めない時は、犬または猫専用のミルクを与えます。
・離乳期
生後20~60日ぐらい。やわらかくしたフードを少しずつ与えます(離乳期用または成長期用)。
・成長期
生後50日から、小型犬では10か月ぐらい、中型犬では1年ぐらい、大型犬では1年半ぐらい、猫では1年ぐらいの期間。市販製品では、成長期用(子犬用または子猫用)のフードがあります。
・成犬、成猫期
成長期を終えてから7年間(大型犬では5年)程度の時期をいいます。市販製品では、成犬用、または、成猫用のフードがあります。
・中高齢期
約8~10歳(大型犬は6~7歳)以降の時期を言います。最近は年齢をより細かく分けて表示されたものもあります。
ペットフードの切り替え方
ある年齢になったからといって、急にその年齢用のフードに切り替えるのはあまり良いことではありません。食べ慣れていないフードに切り替えると、吐いてしまったり、下痢をすることもあります。フードを変えるときには、犬や猫の状態を見ながら1~2週間かけて新しいフードの割合を徐々に増やしていきましょう。
表示の見方
表示をよく確かめて、目的に合ったフードを選びましょう。市販のペットフードのパッケージには、犬や猫の健康と安全を守るために参考となる情報はもちろん、他にも様々な情報が日本語で記載されています。
5つの表示義務:ペットフード安全法に基づく表示
国内で販売されるベットフードに記載することが義務づけられている表示です。
1.名称:犬用?猫用?
商品名とともに犬用か猫用かが分かるように記載されています。
2.賞味期限:いつまで与えていいの?
決められた方法で保存した場合に、栄養価や品質が保証出来る期限です。年月日または年月で記載されています。
3.原材料名:何が入っているの?
フードに使用したすべての原材料と添加物が記載されています。
4.原産国名:どこで作られているの?
フードの最終加工が行われた国が記載されています。
5.事業者名及び住所:だれの製品なの?
事業者の種別名(輸入者、製造者又は販売者)、名称や住所などが記載されています。
ペットフードの保存方法
ペットフードは種類によって保存方法や保存期間が異なります。保存状態が悪いと犬猫の健康に影響することもあるため、正しい保存方法を守りましょう。
ペットフードの取扱い一般
ペットフードの種類に合わせた適切な取扱いを心がけ、賞味期限内に使い切りましょう。保存状態が悪いと、賞味期限内でも品質が悪くなることがあります。またフードを与えるときに使用する食器等の衛生面にも気をつけてください。フードの残りかすや水分は、微生物の格好の繁殖場所となります。使い終わった食器等はきれいに洗い、乾燥させて清潔な場所に保管しましょう。食器の後片付けや、食べ残しの片付けが済んだら、最後に石けんで手を洗い、飼い主にとっても犬や猫にとっても衛生的な環境を保つように心がけましょう。
ドライフード、ソフトドライフード
使用期限の目安:開封後約1か月
袋をしっかり閉じて、直射日光が当たらない、温度・湿度が低い場所で保存しましょう。
冷蔵庫で保存すると、与えるときの出し入れの際に、フード表面に結露を生じ、カビ等の発生の原因になることがあるので常温で保存するようにしましょう。
開封後は、なるべく早く使い切れるように犬や猫の大きさにあったサイズの製品を選びましょう。
ドライフードは比較的長期間保存できる利点がありますが、食器に出した後は、時間とともに香りや食感が失われます。また、犬や猫の唾液がついたまま放置すると、有害な微生物が発生する可能性があるため、食べ残しは放置せずに片付けるか、定期的に新しいものに交換しましょう。
セミモイストフード
使用期限の目安:開封後2週間程度
袋をしっかり閉じて、冷蔵庫で保存しましょう。
開封後は袋をしっかり閉じて冷蔵庫で保管し、使う分だけを冷蔵庫から取り出して与えましょう。
密閉できる袋や容器に入れて冷蔵保存するのも有効です。
ウエットフード
使用期限の目安:開封後1日
開封したらすぐに与えましょう。
未開封の缶詰やレトルトフードは、直射日光が当たらない温度変化の少ない場所で保存しましょう。未開封であれば長期間保存できる利点があります。
開封後に余ってしまった場合は、別の容器に移し替えて冷蔵庫で保存し、その日のうちに使い切りましょう。1日以上保存する場合は冷凍保存して、与える際に解凍する方法も可能ですが、食味等を損なう場合があります。
また、食器に出した後の酸化、腐敗、有害微生物の繁殖等の品質の変化が、ドライフードに比べて早いため、20分程度を目安に片付けましょう。
歯のケア
犬は生まれてから約1か月で28本の乳歯が生え揃い、3~7か月で42本の永久歯に生え変わります。猫では生まれてから約1か月半で26本の乳歯が生え揃い、4~8か月で30本の永久歯に生え変わります。
歯ブラシなどを使用した歯磨きの習慣をつけることは、健全な歯を保つことにつながります。
できるだけ、子犬や子猫の時から口に触れられることに慣らしておきましょう。歯磨きが難しい場合は、歯垢が付きにくいドライフード、デンタルケア用のガムやおもちゃを利用すると良いでしょう。
万が一、歯に異常がある場合は、歯周病などの歯や口の病気だけでなく、それが原因で全身性の病気が引き起こされることもありますので獣医師に診てもらいしましょう。
参照元:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
歯磨き・歯石除去について
農林水産省が2024年に公開した「小動物獣医療等に関するよくある質問」では、歯石除去、歯磨きについて示されていますのでご紹介します。
Q.トリミングサロンで薬用シャンプーは使えますか?
トリミングサロンでは、病気を治すことを目的としたシャンプーはできません。被毛の洗浄のためのシャンプーは問題ありません。なお、シャンプーの中には動物用医薬品や動物用医薬部外品のものがありますので、それら製品に記載されている使用上の注意や獣医師の指導に従って使用してください。
Q.犬の歯石が気になります。どうしたらよいですか?
歯石は歯磨きで取り除くことはできません。獣医師にご相談ください。
Q.歯石除去に資格が必要ですか?
飼育動物の診療の業務は、獣医師でなければできません。スケーラーを用いる歯石除去は、獣医師の獣医学的判断及び技術をもって行う診療行為です。歯石が気になる場合は、獣医師にご相談ください。なお、歯垢を除去する目的でブラシやガーゼ等を用いる歯磨きは一般的に診療行為ではありませんが、口腔内に傷がある等の場合は獣医師にご相談ください。
参照元:農林水産省「小動物獣医療等に関するよくある質問」
まとめ
食事、歯磨きはペットが健康に暮らす上で非常に重要です。愛犬、愛猫と長く暮らしていくためにも健康に気をつけて豊かなペットライフを送ってください。
執筆:equall編集部
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