【獣医師監修】飼い主の“身体のウェルビーイング”に表れる変化とは

「最近、生活リズムが整ってきた」「外に出るようになった」これらの変化の背景に、犬や猫と暮らし始めたことがあるという人は少なくありません。
本記事では、飼い主の身体的ウェルビーイング(身体的健康・活動量・生活習慣)に焦点を当て、ペットとの日常が、どのように健康状態に影響を与えるのかを解説します。

身体的ウェルビーイングとは

WHOが提唱するウェルビーイングの3要素のうち、「身体的ウェルビーイング」には以下の要素があります。

  • 活動量が適切であること
  • 睡眠・食事・運動の習慣が整っていること
  • 痛みや不調を抱えていない状態
  • 健康寿命を延ばせる生活習慣を持っていること

つまり、「単に病気がない」だけでなく、自分の体を自分でケアできる状態にあることが重要です。

ペットとの暮らしがもたらす“身体的好影響”

運動習慣が自然と身につく

犬との散歩は「継続できる運動」です。散歩の頻度が増えることで、有酸素運動を毎日継続できます。

  • ダイエットや代謝改善だけでなく、血糖値や血圧の安定にも効果
  • 精神的な活力と身体的な軽快感の相乗効果が得られる

生活リズムが整う

ペットに食事をあげる、トイレを掃除する、散歩に行く、これらはすべて「時間に合わせた行動」です。

  • 朝の目覚めが早くなり、夜も規則的な時間に就寝するようになる
  • 睡眠の質や食事のタイミングも整いやすくなる
  • 生活リズムの安定が自律神経やホルモンバランスにも良い影響

食生活や健康意識が高まる

ペットの食事管理を通して、「自分の食生活を見直すようになった」という声も多く聞かれます。

  • ペットに無添加・栄養バランスの良いフードを与える → 自分も食材を気にするように
  • ペットの定期検診 → 自分も健診を受けようと思う
  • ペットの体重管理 → 自分の体重や運動習慣を再確認

高齢者における予防・対策にも効果

ペットとの生活は、高齢者の健康予防や対策にも効果があります。

  • 犬の散歩や世話によって、下半身の筋力やバランス感覚が維持されやすい
  • 猫の飼育でも、トイレ掃除や世話で日常的な動作が発生するため、寝たきり予防に貢献
  • さらに、「世話をしなければならない」という目的意識が生きがいにつながる

高齢者において、ペット飼育が健康寿命を延ばす可能性があるとの報告もあります。

飼い主の健康維持に役立つ「小さな工夫」

毎日の散歩を「健康記録」として活用

  • 距離や時間、気温などを記録することで運動のモチベーションが継続
  • アプリや日記で習慣化しやすくなる

食事・体重・体調の記録を“ペットとセット”で行う

  • 自分とペットの健康チェックをセットにすることで忘れにくくなる
  • ペットの体調変化が、自分の生活の乱れに気づくきっかけにも

「動く機会」をつくる配置・動線を工夫

  • フードやトイレを2階に置く → 階段を使う機会が増える
  • おもちゃの保管場所を離す → 探しに行く運動になる

過剰な負担や義務感は逆効果に

健康効果があるとはいえ、無理をしてペットの世話を続けることは本末転倒です。

気をつけたいポイント

  • 体力や健康状態に合った世話の方法を選ぶ
  • 疲労や不調を感じたときは一時的に手伝ってもらう(家族・ペットシッターなど)
  • 「がんばりすぎず、心地よく続けられる」ことが大切

まとめ

犬や猫との暮らしは、強制的なダイエットや運動よりもずっと自然で、楽しいものです。その中にこそ、日常的な運動習慣や健康意識を高めるヒントが詰まっています。

ペットと暮らすことで高まる身体的ウェルビーイング

1. 運動習慣の確立
2. 生活リズムの安定
3. 健康意識の向上
4. 予防と生活意欲の維持

「この子のために動く」が、「自分のためにもなる」そんな相互作用こそが、ペットと暮らすことの最大の魅力なのかもしれません。

執筆: 獣医師 丸田 香緒里

 

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