環境省、犬猫の生年月日偽装を調査!約700事業所で違反を確認

環境省が2023年11月に犬や猫の生年月日に関する調査を行い、2024年2月にその結果を報告した。

約700事業所で違反を確認

今回の調査は、犬又は猫を扱うペットオークション運営業者やブリーダーについて、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)の遵守状況を確認するべく、環境省から、法に基づく事務を担う都道府県及び政令指定都市に対して、一斉調査を依頼。

その結果、全国のペットオークションで取引された犬又は猫のうち、多くの犬又は猫について生年月日の改ざんがなされていることが強く疑われた。また全国で調査されたブリーダー約1400事業所のうち約5割にあたる約700事業所に法令違反が確認された。

※調査対象の事業者:都道府県又は政令指定都市は、環境省が提供した犬又は猫の生年月日の曜日に偏りがあるブリーダーの一覧を参考に、調査対象を選定

現在、都道府県又は政令指定都市において、法令違反が確認されたブリーダーに対して個別に勧告等の指導監督を行っている。環境省は、ペットオークションを含む関係業界に対し、生年月日の改ざんなどの防止に関する要請をするとともに、必要な制度の改善等を検討していく考えである。

環境省が発表した調査について

調査背景・目的

昨年秋、環境省においてマイクロチップの登録情報を確認したところ、一定数のブリーダーにおいて犬の生年月日の曜日に偏りがあることが判明し、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第22条の5に基づく幼齢の犬又は猫に係る販売等の規制に違反していることが強く示唆された。そのため、当該規制を含む法の遵守状況について確認した。

調査方法

調査依頼者:環境省
調査実施者:都道府県及び政令指定都市(以下「自治体」という。)
調査対象: 全国の犬又は猫を扱うペットオークション運営業者及び一部のブリーダー
なお、環境省から自治体へマイクロチップの登録情報に基づき犬又は猫の生年月日の曜日に偏りがあるブリーダーの一覧を提供し、自治体が当該一覧を参考に調査するブリーダーを選定。
調査実施日:ペットオークション運営業者 原則として令和5年11月22日
ブリーダー 令和5年11月23日~12月8日

環境省への報告事項:
①ペットオークション運営業者
・ 調査日直近で競りあっせんされた犬又は猫の個体ごと生年月日、体重、競りあっせんの日、犬種又は猫種 等
・ 上記を除き、平成24年11月~令和5年11月に競りあっせんされた犬又は猫に係る生年月日、体重、競りあっせんの日、犬種又は猫種等(ただし編集可能な電子媒体に限る。)
②ブリーダー
・ 幼齢販売規制等の違反状況、指導等対応状況、その他

調査結果及び指導等の状況

(集計対象:令和6年2月9日までの報告)

①ペットオークション運営業者
・ 19会場で直近(概ね11/16~11/22)に競られた犬約3800頭のデータを収集した。
・ 犬又は猫を取り扱う計10会場において過去(各会場における直近の開催より前。以下同じ。)に競られた犬又は猫約120万頭のデータを収集した。
・ 56日齢規制時点(直近及び過去データのうち令和3年6月1日以降)において、全ての会場で、犬又は猫の生年月日の曜日の偏りが確認された。(別紙1参照)。
・ 45日齢規制時点(過去データのうち平成25年9月1日~平成28年8月31日)及び49日齢規制時点(過去データのうち平成28年9月1日~令和3年5月31日)においても、ほぼ全ての会場で、犬又は猫の生年月日の曜日の偏りが確認された。(別紙1参照)。
・ 体重を把握したトイプードル約11万頭及びチワワ約7万頭(いずれも49日齢規制時点又は56日齢規制時点。幼齢販売規制導入以前又は45日齢規制時点は含まない。)の平均体重を分析したところ、トイプードルは35日齢の平均体重※を下回り、チワワは49日齢規制時点では35日齢、56日齢規制時点では42日齢の平均体重※を下回った。
※ ペット保険会社に要請し、提供されたデータから確認。(別紙2参照)

③ブリーダー
・ 約1400事業所※を調査し、約5割に相当する約700事業所で違反が確認された。
※環境省から自治体へマイクロチップの登録情報に基づき犬又は猫の生年月日の曜日に偏りがあるブリーダーの一覧を提供し、自治体が当該一覧を参考に調査するブリーダーを選定。

主な違反の内訳

・ 帳簿の不備496件(法第21条の5)
・ 帝王切開に伴う出生証明書の不備128件(第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(以下、「基準省令」)第2条第6号チ)
・ 繁殖台帳の不備314件(基準省令第2条第6号ハ)
・ 8週齢規制違反(自ら認めたなど)50件(法第22条の5)
・ 違反が確認されたブリーダーに対し、自治体から以下の指導等を行っている。

指導等の内訳

・ 口頭指導367件
・ 文書指導264件
・ 文書指導(予定)件数39件
・ 勧告1件
・ 勧告(予定)1件

調査結果を受けた今後の対応

全国のペットオークションで取引された犬又は猫のうち、多くの犬又は猫について生年月日の改ざんがなされていること及び当該犬猫を出品したブリーダーが幼齢販売規制等に違反していることが強く疑われた。また、一部ブリーダーが犬猫の生年月日を改ざんし、幼齢販売規制等に違反していることが確認された。
また、犬猫のオークション運営業者には、基準省令第2条第7号テに基づき、競りに参加するブリーダーに対して関係法令に違反していないこと及び違反するおそれがないことを聴取する義務が課せられているにも関わらず、生年月日が改ざんされた幼齢の犬猫を取り扱っていることが疑われた。
今後、環境省においては、生年月日の改ざん及び幼齢販売規制違反等を防ぐため、犬猫を扱うブリーダー、オークション及びペットショップの関係団体等を対象に、法を遵守するよう要請するとともに、都道府県及び政令指定都市を通じて動物取扱業者への適切な指導監督がなされるよう、必要な制度の改善及び自治体への技術的助言を検討していく。

参考資料:
ペットオークション会場で競られた犬猫の生年月日
ペットオークションで競られた幼犬の体重

ペット保険会社も調査対象に

複数のペット保険会社へ、保険契約された犬及び猫の生年月日データ提供を要請し、入手した約247万頭の生年月日データを分析したところ、幼齢販売規制導入後に犬猫の生年月日の曜日の偏りが増加していることが確認された。

参考資料:
ペット保険会社から得られた犬猫の生年月日の曜日分布

参照元:環境省「ペットオークション・ブリーダーへの一斉調査結果について

執筆:equall編集部

 
 あなたにオススメ