バーチャルペットは「ペットの代わり」になるのか?

住宅事情や仕事の都合でペットを飼えない人々の間で、バーチャルペット(以下VP)への関心が高まっています。「アプリやゲームの中のペットは、本物の動物と同じように私たちの心を癒やしてくれるのか?」この疑問に対し、行われた研究をもとに、解説します。

バーチャルペットは本物のペットの代わりにはならない

まず、今回の解説のベースとなる研究「バーチャルペットはペットの代わりとなるのかの結論を提示します。

研究結果として、VPはペットの代わりにはならず、あくまでゲームとして楽しむものであることが明らかになりました。

実験では大学生24名を対象に、犬を育成するゲームを2週間プレイしてもらい、心理的変化を測定しました。その結果、以下の傾向が浮き彫りになりました。

  • 本物のペットに対する「家族のような存在」「飼育への責任」といった感覚は、VPでは著しく低い。
  • 「可愛い」「癒やされる」という評価はあるものの、その効果は短時間・一時的である。

つまり、見た目の愛らしさはあっても、そこには「命」に伴う重みや、深い精神的なつながりが欠けていると言えます。

実験で判明したバーチャルペットに対する3つの心理傾向

論文のデータから見えてきた、VPに対する興味深い心理反応を3つのポイントで解説します。

1. 女性の方がVPに感情移入しやすい

男女別のデータを比較すると、女性の方がVPに対して「可愛い」「楽しい」と感じる感受性が高い結果となりました。男性に比べ、女性の方が仮想の世界観に入り込みやすく、ゲームとしての育成を楽しめる傾向にあります。

一方で、信頼度に関しては男女ともに低い評価となっており、「パートナー」と呼べる関係性までは構築されにくいことがわかります。

2. ストレスを感じやすい人には逆効果の可能性

「癒やし」を求めてVPを始める人も多いですが、実験では意外な事実が判明しました。日頃からストレスを感じやすい人は、そうでない人に比べてVPへの依存度が低い結果となりました。

これは、忙しい中での操作や育成義務が、癒やしどころか「負担」になり、かえってストレスになる可能性があることを示唆しています。

3. ペット飼育経験者ほどVPに「責任」を感じない

過去に本物のペットを飼ったことがある人は、VPに対して責任感をほとんど感じていませんでした。これは、リアルな命の重さを知っているからこそ、「これはゲームである」と明確に割り切っているためと考えられます。

逆に、今後ペットを飼いたいと考えている「購入希望者」は、VPを長くプレイする傾向にありましたが、やはりそこに伴う責任感は低いままでした。

リアルなペットとバーチャルペットの決定的な違い

本論文の評価項目である「愛着」「信頼」「依存」「責任」「精神」の観点から、両者の違いを整理します。

責任感の有無

本物のペット飼育では不可欠な「責任感」が、VPでは希薄です。VPはお世話を忘れてもリセットできたり、深刻な結果を招きにくかったりするため、飼育体験としてのリアリティには限界があります。

論文でも、VPはペットを飼う際のマナーや躾の参考にはならないと結論づけています。

関係性の深さ

本物のペットは「家族」や「パートナー」として認識されますが、VPは「可愛い対象」止まりです。心の支えとなるような深い精神的つながり(信頼や依存)の数値は、VPでは総じて低評価でした。

この研究から考える「バーチャルペット」との付き合い方

論文の結論を踏まえ、現代においてVPをどのように活用すべきかを提案します。

VPが向いている人・活用シーン

  • 割り切って楽しみたい人:ゲームとしての楽しさや、瞬間的な可愛さを求める人には適しています。
  • ペット飼育の「手間」を体験したい人:実際の責任感は伴いませんが、毎日世話をするというルーティンの疑似体験にはなります。
  • 女性ユーザー:データ上、比較的楽しみを見出しやすい傾向にあります。

VPに過度な期待をしてはいけないこと

  • 孤独感の根本的な解消:「家族」の代わりにはなりません。
  • 飼育の練習:実際の動物の反応や命の重みとは別物であるため、予行演習としては不十分です。
  • 高ストレス時の逃避先:操作が負担になり、逆効果になる恐れがあります。

本論文は2000年代のゲーム(画面の中の育成ゲーム)を対象としています。そのため、現在普及しつつある「AI搭載型ロボット(LOVOTやaiboなど)」に関する知見は含まれていません。

物理的な実体を持ち、高度なAIで反応する最新のロボットペットであれば、今回「低い」とされた「愛着」や「存在感」の評価が変わる可能性があります。しかし、「命の責任」が存在しないという点では、本論文の指摘する「リアルの代わりにはならない」という本質は、最新技術であっても変わらない重要な視点と言えるでしょう。

まとめ

  • バーチャルペットは「可愛い」「楽しい」が、本物のペットのような「家族」「責任」の対象にはならない。
  • 癒やし効果は一時的であり、ストレスが高い人にとっては負担になることもある。
  • 飼育経験者は「ゲームはゲーム」と割り切る傾向が強く、責任感を感じにくい。
  • VPはあくまで娯楽ツールとして位置づけ、本物のペットとの共生とは区別して考える必要がある。

 

参考文献:バーチャルペットはペットの代わりとなるのか

執筆:equallLIFE編集部

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