ペットと海外旅行に行ける日は来る?「機内同伴」の未来とリアルな金額

愛犬や愛猫は大切な家族です。国内旅行だけでなく、海外旅行も一緒に楽しみたいと考える飼い主さんは年々増えています。しかし、日本の航空会社では、ペットは「貨物」として扱われることが一般的で、客室(機内)への同伴はハードルが高いのが現状です。

今回は、公益財団法人アジア成長研究所が発行する「東アジアへの視点」に掲載された論文をもとに、日本唯一の「機内ペット同伴サービス」を展開するスターフライヤーの事例と、国際線への展開の可能性、そしてユーザーが考える「適正価格」について解説します。

  • 日本の航空会社で機内ペット同伴(定期便)を行っているのはスターフライヤーのみ
  • 台湾からの旅行者を対象とした調査では、機内同伴に約2万円の価値があると評価された
  • この金額は、ペット先進国である韓国の航空会社の国際線料金とほぼ同水準である
  • 実現には検疫や「ワンヘルス(人と動物の健康は一つ)」の観点での感染症対策が必須

世界の航空会社と日本のペット事情のギャップ

海外、特に欧米や韓国では、ペットを機内に持ち込めるサービスが普及しています。一方、日本ではスターフライヤー(SFJ)が国内線定期便で「FLY WITH PET!」を開始したのが先駆けであり、他社は追随できていない状況です。

論文内で整理されている「ペット同伴搭乗サービスを実施している主な海外航空会社」を見てみましょう。

主な海外航空会社の対応状況

地域:韓国
航空会社:大韓航空、アシアナ航空、チェジュ航空、ジンエアーなど
特徴:フルサービスキャリアからLCCまで多くの会社が対応。社会的に犬への寛容度が高い背景がある。

地域:欧州
航空会社:ルフトハンザ、エールフランス、KLMオランダ航空、フィンランド航空など
特徴:ペット同伴が一般的で普及している。

地域:北米
航空会社:アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空など
特徴:三大航空会社のすべてが同サービスを提供している。

このように世界ではスタンダードになりつつあるサービスですが、日本ではまだ一般的ではありません。しかし、コロナ禍を経て航空業界は「量の追求」から、付加価値を提供する「質の追求」へと変化を迫られています。その切り札の一つが、ペット同伴サービスなのです。

スターフライヤー台湾チャーター便での調査結果

論文では、2023年1月から2月にかけて運航されたスターフライヤーの台湾チャーター便を利用したインバウンド旅行者(92名)に対してアンケートを行っています。

台湾の旅行者はペット同伴にいくら払うのか

仮想市場評価法(CVM)という手法を用いて、「もし日本への国際線でペットを機内に持ち込めるなら、いくら払うか(支払意思額:WTP)」を調査しました。

評価額の結果

  • 中央値:約16,000円 から 21,400円
  • 平均値:約19,700円 から 24,200円

この結果から、利用者はペット同伴サービスに対して「約2万円」の価値を感じていることがわかりました。

この「約2万円」という金額の妥当性

興味深いのは、この算出された金額が、すでにサービスを実施している韓国系航空会社の国際線料金とほぼ一致している点です。

韓国系航空会社の料金例(日本発着国際線)

  • 大韓航空:約15,000円
  • アシアナ航空:約14,000円
  • エアプサン:約7,000円
  • ベトナム航空:約17,000円から

韓国では競争原理が働いているため、比較的リーズナブルな価格設定になっています。今回の調査で示された「約2万円」という評価額は、ビジネスとして十分に成立する可能性がある価格帯と言えるでしょう。

国際線導入に向けた最大のハードルは「感染症対策」

利用者のニーズがあり、価格的な妥当性も見えました。では、すぐに国際線でペット同伴が可能になるかというと、そう簡単ではありません。論文では、最大の課題として「人獣共通感染症対策」を挙げています。

ワンヘルス(One Health)の重要性

福岡県などが推進している「ワンヘルス」とは、人の健康、動物の健康、環境の健全性は一つであるという考え方です。国際線でペットを受け入れる場合、以下の点が懸念材料となります。

  • 狂犬病のリスク
    日本は狂犬病の清浄国(発生していない国)ですが、台湾では野生動物などで発生例があります。
  • 鳥インフルエンザのリスク
    高病原性鳥インフルエンザの発生状況も考慮する必要があります。

アンケート結果でも、ペットを飼育していない人は「感染症対策」への関心が非常に高いことがわかっています。ペット同伴サービスを国際線で展開するには、単に「愛犬と旅行したい」というニーズに応えるだけでなく、日本と相手国の双方で厳格な検疫や衛生管理が徹底されていることが大前提となります。

まとめ

論文の分析を通じて、ペット同伴搭乗サービスの未来が見えてきました。

今後の展望

  1. 潜在的な需要は高い
    ペットを家族と考える層にとって、機内同伴は高く評価されるサービスです。
  2. 適正価格は約2万円
    利用者が許容する価格帯は、先行する韓国のフルサービスキャリアと同水準です。
  3. 安全性が最優先
    実現には、狂犬病などの感染症対策(検疫体制の強化やルールの徹底)が不可欠です。

スターフライヤーのような航空会社が、国内線での実績を積み重ね、安全性を証明していくことが、将来的な「ペットと海外旅行」の実現への第一歩となるでしょう。

参考文献:ペット同伴搭乗サービスの現状と経済価値 -スターフライヤー台湾チャーター便の調査から-

 

ペットと一緒に飛行機で海外に行く方法!世界の航空会社51社を調査

執筆:equallLIFE編集部

 

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