留守番中の様子を見守れるペットカメラや、愛犬・愛猫の写真を楽しめるSNSは、暮らしを豊かにする便利なサービスです。一方で、ネットワークにつながる機器や公開情報には、情報セキュリティの視点も必要です。
「AIの進化で、すべてのハッキングが急増している」とまでは断定できません。しかし、英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、AIが偵察やフィッシングなど既存の攻撃手法を効率化し、検知を難しくし得ると評価しています。またIPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、AIの利用をめぐるサイバーリスクが組織向け脅威として初めて選出されました。
この記事では、ペットカメラ、SNS投稿、パスワードを中心に、飼い主が今日から確認できる対策を整理します。
目次
ペットの情報も「つながる情報」として守る
ペットカメラは、インターネットにつながるIoT機器の一つです。映像、音声、利用アカウント、設置場所から分かる生活情報などを扱う可能性があります。一般的なネットワークカメラについて、IPAの手引きは、初期パスワードのまま、不正に入手・推測されたパスワード、脆弱性などを足がかりに、映像が不正閲覧されるリスクを例示しています。
これは、すべてのペットカメラが侵害されるという意味ではありません。製品ごとの設計や設定、利用環境でリスクは異なります。ただし、購入したまま使わず、アカウント・カメラ・自宅のWi-Fiをまとめて見直すことが大切です。
ペットカメラで確認したい5つの設定
- 初期パスワードを変更する
購入時のままのパスワードは使わず、カメラのアカウントと管理画面の両方を確認します。 - 長く、使い回さないパスワードにする
ほかの通販サイトやメールと同じパスワードは避けましょう。IPAは、短い文字列や誕生日・名前など推測しやすい情報を使わず、サービスごとに異なるパスワードを設定するよう案内しています。 - 二段階認証・多要素認証を有効にする
対応するサービスでは、パスワードに加えて認証アプリなどで確認する設定を有効にします。 - アプリと本体の更新通知を確認する
アプリやファームウェアの更新は、脆弱性の修正を含むことがあります。自動更新の有無と、メーカーのサポート期間を購入前・利用中に確認しましょう。 - 共有相手と権限を見直す
家族や見守りを頼む人に共有したアカウント・招待を、定期的に確認します。利用しなくなった人の権限は削除しましょう。
カメラ本体だけでなく、接続する家庭用ルーターとWi-Fiにも、初期パスワードの変更、暗号化設定、ソフトウェア更新が必要です。
SNSで公開する「ペットの誕生日・名前」にも注意
「うちの子の誕生日」「名前の由来」「初めて会った日」は、飼い主にとって大切な思い出です。公開そのものが直ちに危険というわけではありません。しかし、公開情報をパスワードや秘密の質問の答えに使うと、推測されやすくなります。
IPAは、SNSで公開した誕生日などからパスワードが推測される可能性があるとして注意喚起しています。ペットの名前も、秘密の質問の答えに使わない方がよい情報の例に挙げています。
つまり、「ペットの誕生日をSNSに投稿したから必ずハッキングされる」のではありません。問題になるのは、その情報をパスワード、暗証情報、秘密の質問の答えに流用することです。投稿する場合も、住所や日常の行動範囲、留守の時間帯が分かる内容を重ねて公開しないようにしましょう。
AI時代に意識したい、なりすましとフィッシング
AIを使って作られた自然な文章や画像は、本物の連絡と見分けにくい場合があります。NCSCは、AIがフィッシング、偵察、ソーシャルエンジニアリングをより効果的・効率的にし得ると評価しています。
たとえば「ペットカメラのアカウントに異常なログインがありました」「支払い情報を更新してください」といったメールやSMSが届いても、本文中のリンクからログインしないでください。公式アプリや、普段使っているブックマークからサービスを開き、通知内容を確認するのが安全です。
新しく購入するときの選び方
価格や画質だけでなく、メーカーがセキュリティ情報、更新方法、問い合わせ先、サポート期間を公開しているかも確認しましょう。日本では、2025年3月からIoT製品のセキュリティ機能を評価・可視化する任意制度「JC-STAR」が始まりました。対象製品では、適合ラベルや二次元コードから製品情報・セキュリティ情報を確認できます。
ただし、ラベルの有無だけで安全性が一律に決まるわけではありません。購入後も、更新とアカウント管理を続けることが必要です。
困ったときは、まずログイン情報を守る
見覚えのないログイン通知や設定変更、共有招待があった場合は、メール内のリンクを使わずに公式アプリ・公式サイトからパスワードを変更してください。可能であれば、ほかのサービスと同じパスワードを使っていないかも確認し、多要素認証を設定します。被害が疑われる場合は、サービス提供元の公式窓口や、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口などに相談しましょう。
ペットとの日常を安心して楽しむために、便利な機器と公開情報を「つながる情報」として扱い、設定を定期的に見直していきましょう。
参考資料
- IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き(IPA)
- SNSで公開している誕生日などの情報を使ったパスワード設定は推測されやすくNG(IPA)
- はじめよう、情報セキュリティ対策(IPA)
- 情報セキュリティ10大脅威 2026(IPA)
- The near-term impact of AI on the cyber threat(英国NCSC)
- IoT製品に対するセキュリティラベリング制度(JC-STAR)(経済産業省)
執筆:equall編集部
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