高齢者の孤独解消と医療費削減の鍵は「ペット」にあり?

「高齢化社会における孤独」「増え続ける医療費」「ペットの殺処分問題」。これらは一見バラバラの課題に見えますが、これらを繋ぐ画期的な視点が提示されています。「薬を飲む代わりに、猫や犬と暮らす」。そんな未来が、高齢者の幸福と社会の負担軽減の両立をもたらすかもしれません。

  • ペットが高齢者のメンタルヘルスに与える具体的な医学的効果
  • 「延命治療」と「幸福な最期」に関する精神科医の視点
  • 高齢者がペットを飼うための社会的課題と解決策

精神科医が実感した「ペットの劇的な癒やし効果」

今回参考にした論文の著者は、還暦を前にして犬と猫を飼い始めた自身の経験から、生活が一変したと語っています。

怒りが消え、幸福感が増すメカニズム

著者自身の体験として、以前は政治ニュースなどに対して怒りを感じることが多かったものの、ペットと暮らし始めてからは「どうでもよくなった」という心理的変化が記述されています。

これは単なる感想ではなく、医学的な裏付けがあります。麻布大学の菊水健史氏の研究によると、動物との触れ合いは以下の3つの効果をもたらすとされています。

  1. 身体的効果:オキシトシン(幸せホルモン)の分泌、心拍数の安定
  2. 心理的効果:孤独感の軽減、幸福感の向上
  3. 社会的効果:人との繋がりの円滑化

著者は、自身がペットと過ごすことで脳内にオキシトシンが分泌されている実感を持っており、これが「生きがい」に直結していると述べています。

現代医療への問いかけ「薬漬け」は本当に幸せか

本論文の核心は、高齢者のメンタルヘルス向上にとどまらず、日本の「高額な医療費」という社会問題に切り込んでいる点です。

「症状のない問題」への投薬に対する疑問

著者は精神科医の視点から、日本の高齢者が多量の薬を服用している現状に疑問を呈しています。特に、痛みや不快な症状がないにもかかわらず、検査数値を正常に戻すためだけに高額な薬を飲むことの是非を問うています。

若者であれば数十年後の健康のために服薬する意味がありますが、残された時間が限られている高齢者にとって、それは本当に必要なことなのかという指摘です。

延命治療と人間の尊厳

また、認知症で寝たきりになった患者への過度な延命治療や、高齢者への高額な高度医療(例:エクモの使用など)についても、再考の必要性を訴えています。

「若い人に重い負担を押し付けてまで、老人の延命に高額な医療費を使う必要があるのか」

この鋭い問いかけは、単なるコスト論ではなく、「人間としての尊厳ある最期とは何か」という倫理的なテーマを含んでいます。

高齢者がペットと暮らせない「壁」とその解決策

多くの高齢者が「寂しい」「ペットを飼いたい」と願いながらも、実現できない大きな理由があります。それは、「自分が先に死んだらペットが路頭に迷う」という不安です。

「ペット信託」のような仕組みの必要性

論文では、「出前館」創業者である花蜜伸行氏の活動に触れ、高齢者が安心してペットを飼えるシステムの構築を提案しています。

  • 一定額を支払うことで、飼い主没後も保護猫の面倒を見てもらえる仕組み
  • ペット可の高齢者向け住宅の整備

もし、無駄な医療費を削減し、その分のお金を「高齢者がペットと暮らすための支援」に回すことができれば、以下の好循環が生まれると著者は提言しています。

  1. 高齢者の孤独が解消され、メンタルヘルスが向上する
  2. 過度な医療依存が減り、医療費が削減される
  3. 行き場のない保護犬・保護猫の殺処分が減る

大学キャンパスを活用した「動物介在療法」の構想

具体的なアクションプランとして、自身が所属する愛知学院大学のキャンパスを活用したアイデアを披露しています。

  • 動物療法士(アニマルセラピスト)養成コースの新設
  • 大学敷地内へのドッグランやドッグカフェの設置
  • 学生や地域住民、高齢者が動物を通じて交流する場の創出

これは、単にペットを飼うだけでなく、動物を介在させることで地域コミュニティ全体を活性化させる「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」の醸成にも繋がる発想です。

医療から「暮らしの質」へ予算をシフトする

本研究は、単なる動物愛護論ではありません。「高齢者の医療費削減」という現実的な経済課題に対し、「ペットとの共生」という人間味あふれる解決策を提示した点に新規性があります。

  • 高齢者の幸福:孤独感の解消、生きがいの創出
  • 社会のメリット:医療費の適正化、殺処分の減少

「薬で数値を下げるよりも、猫を撫でて血圧を下げる」。そんな選択肢が当たり前になる社会構造への転換が、今求められているのかもしれません。

参考文献:高齢者のメンタルヘルスと高額な医療費について

執筆:equallLIFE編集部

 

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